Recipe
かぼちゃはワタと一緒に塩で煮ろ!樋口直哉が「かぼちゃの煮物」の作り方を解説 #塩煮 #レシピ
Ingredients
- かぼちゃ300g~350g(1/4個分、種とワタ、皮を取り除いた状態)
- 酒75cc
- 水125cc
- 塩小さじ1/3(2g)
「かぼちゃの塩煮」とは
スーパーで売られている西洋かぼちゃを使った塩煮のレシピです。砂糖や醤油を使わず、酒と塩だけで調理することで、かぼちゃ本来の濃厚な甘みを引き出します。通常は捨ててしまうワタを一緒に煮ることで、自然なとろみと旨味が加わり、現代の高糖度な西洋かぼちゃに最適な調理法です。
樋口直哉の料理論[Cooking theory]のご紹介 →
「かぼちゃの塩煮」を美味しく作るコツ
-
下準備
- かぼちゃのワタは捨てずにスプーンで優しくこすり取り、別にとっておく
- ワタの周りに最も甘い香りと旨味が集中している
-
下準備
- 皮は縞状に剥き残す
- 火の通りが良くなり、味の染み込みが格段に向上する
-
火加減
- かぼちゃの軟化温度は91℃〜92℃
- 沸騰後は弱火に落とし、この温度をキープすることで煮崩れを防ぎ、美しく仕上がる
-
調理法
- 底が丸い雪平鍋を使う
- 対流が起きやすく、煮汁が全体に効率よく回る
-
調理法
- かぼちゃは皮を下にして並べ、内側の黄色い部分を上にする
- 皮を上にすると甘い部分が溶け出す
「かぼちゃの塩煮」の材料
4点※ 材料名をタップするとAmazonで関連商品を探せます
「かぼちゃの塩煮」の作り方・手順
- 1
かぼちゃの下準備
スプーンを使ってかぼちゃのヘタをくり抜き、包丁の先をヘタの穴に差し込んでテコの原理で割るようにして1/4サイズに切り分ける。この方法なら余計な力を入れずに安全に切ることができる。
- 2
ワタを取る
かぼちゃ1/4個からスプーンで優しくワタをこすり取り、別にとっておく。ワタの周りが最も甘い香りで、これを煮汁に加えることで自然なとろみと旨味が生まれる。
- 3
かぼちゃを一口大にカット
ワタを取ったかぼちゃを一口大にカットする。包丁の背に左手を添え、体重を乗せてテコの原理で切ると、刃が滑ることなく安全に切ることができる。
- 4
皮を縞状に剥く
カットしたかぼちゃの皮をところどころ剥き残し、縞状にする。手で持ったまま包丁で剥くか、まな板の上に置いて上から下に削るように皮を切り落とす。前後に少し包丁を動かしながら切ると、断面が綺麗にツヤよく仕上がる。
- 5
鍋にかぼちゃを並べる
18cmの雪平鍋にかぼちゃを重ならないように一重に並べる。このとき、皮を下(内側の黄色い部分を上)にして並べることが重要。皮を上にすると、内側の甘くて美味しい部分が煮汁に直接触れて溶け出してしまう。
- 6
煮汁を加えワタを乗せる
鍋に酒75cc、水125cc、塩小さじ1/3(2g)を加え、とっておいたワタを上に乗せる。ワタを一緒に煮ることで、煮汁に自然なとろみと豊かな甘みが加わる。
- 7
煮込む(前半)
落とし蓋(アルミホイルでも可)をして中火にかけ、沸騰させる。底が丸い雪平鍋は対流が起きやすく、落とし蓋に当たった煮汁が再び下に落ちるため、全体に効率よく熱と味が回る。
- 8
火加減を調整して煮込む(後半)
沸騰後は弱火に落とす。かぼちゃの軟化温度は91℃~92℃で、火が強すぎてグラグラ沸騰し続けるとかぼちゃ同士がぶつかり合って煮崩れの原因になる。弱火で軟化温度をキープしながら、10分間煮込む。
- 9
火の通りを確認
10分経過後、竹串を刺して様子を確認する。まだ中心に抵抗を感じればさらに5分煮込む。竹串がスッと抵抗なく入ればかぼちゃは完璧に火が通っている。
- 10
盛り付けと煮汁の仕上げ
器にかぼちゃを崩さないよう優しく盛り付ける。鍋に残った種は食べられないので取り除き、お玉でワタの旨味を煮汁に絞り出す。ワタのおかげで自然なとろみと黄金色のツヤがついた煮汁を、仕上げにかぼちゃの上からたっぷりと回しかける。
料理の科学
かぼちゃのワタや種周辺には豊富なうま味成分が含まれており、一緒に煮ることでそのうま味が全体に染み渡ります。また、少量の塩を加えることで、かぼちゃ自体の持つ甘味を際立たせる「甘味の対比効果」が働き、砂糖を使わなくても素材本来の甘味とうま味が最大限に引き出されます。
「かぼちゃの塩煮」の詳しい解説
※ 動画の内容をトピックごとに整理してまとめています。
丸ごとかぼちゃを安全に切るプロの技
作家で料理家の樋口直哉氏が、素材の味を極限まで引き出す「かぼちゃの塩煮」を紹介します。スーパーでは1/4サイズで売られていることが多いですが、丸ごとのカボチャは非常に保存性が高いため、丸ごと買って自分で切るのもおすすめです。硬いかぼちゃを切る際のコツは、まずスプーンを使ってヘタをくり抜くこと。そして、包丁を入れる際は「柔らかい部分から硬い部分へ刃を動かす」のが鉄則です。くり抜いたヘタの穴に包丁の先を差し込み、テコの原理を利用して少しずつ割るように包丁を動かしていきます。この方法を使えば、余計な力を入れずに安全に半分、そして1/4サイズへと切り分けることができます。
かぼちゃの「ワタ」は捨てずに旨味にする
今回の材料は、カボチャ300g〜350g(1/4個分)、酒75cc、水125cc、塩小さじ1/3(2g)のみという非常にシンプルな構成です。ここで樋口氏が注目するのが、普段は捨ててしまいがちなかぼちゃのワタです。かぼちゃの匂いを嗅いでみると、実はワタの周りに一番甘い香りがあります。これは同じ果菜類であるメロンを想像すると分かりやすいですが、種とワタの周りが一番甘くて良い香りがするのと同じです。この素晴らしい香りと旨味を料理に活かすため、ワタは捨てずにスプーンで優しくこそぎ取って、煮る時のために別にとっておきます。
一口大へのカットと「縞に剥く」理由
ワタを取ったかぼちゃを一口大にカットしていきます。ここでも包丁の背に左手を添え、体重を乗せてテコの原理で切ることで、刃が滑ることなく安全に切ることができます。カットしたかぼちゃの皮は、ところどころ剥き残すように「縞に剥く」のがポイントです。皮を少し剥いておくことで、火の通りが良くなり、味の染み込みも格段に向上します。手で持ったまま包丁で皮を剥くのが怖いと感じる場合は、まな板の上にかぼちゃを置いて、上から下に削るように皮を切り落としても構いません。包丁を前後に少し動かしながら切ると、断面が綺麗にツヤよく仕上がります。
皮を下にして一重に並べ、ワタと共に煮る
18cmの雪平鍋にかぼちゃを並べていきます。このとき、かぼちゃが重ならないように一重に並べることが重要です。昔の和食のセオリーでは皮を上にして煮ることが多かったですが、樋口氏は皮を下(内側の黄色い部分を上)にして並べることを推奨しています。皮を上にすると、内側の甘くて美味しい部分が煮汁に直接触れて溶け出してしまうため、味を優先してこの向きにします。鍋に酒75cc、水125cc、塩小さじ1/3(2g)を加え、最後にとっておいたワタを上に乗せます。ワタを一緒に煮ることで、煮汁に自然なとろみと豊かな甘みが加わります。中火にかけ、落とし蓋(アルミホイルでも可)をして沸騰させます。
煮物に最適な鍋と「軟化温度」の科学
煮ている間に、樋口氏が2つの重要なクッキングセオリーを解説します。1つ目は「煮物に最適な鍋」について。底が丸い雪平鍋は煮汁の対流が起きやすく、落とし蓋に当たった煮汁が再び下に落ちるため、全体に効率よく熱と味が回ります。平らなフライパンは対流が起きにくいため、煮物には底が丸い鍋が向いています。2つ目は「軟化温度」です。野菜にはそれぞれ柔らかくなる固有の温度があり、かぼちゃの軟化温度は91℃〜92℃前後です。火が強すぎて煮汁が100℃でグラグラ沸騰し続けると、かぼちゃ同士がぶつかり合って煮崩れの原因になります。沸騰後は弱火に落とし、この軟化温度をキープすることが美しく仕上げるコツです。
竹串での確認ととろみ煮汁の仕上げ
弱火に落としてから10分が経過したところで、一度様子を確認します。かぼちゃは水分を多く含む野菜なので、少ない煮汁でも十分に火が通ります。竹串を刺してみると、まだ少し中心に抵抗を感じるため、さらに5分(トータルで15分)煮ることにします。さらに5分後、竹串がスッと抵抗なく入るようになれば完璧な煮上がりです。器にかぼちゃを崩さないように優しく盛り付けます。鍋に残った種は食べられないので、お玉などでワタの旨味を煮汁に絞り出すようにして取り除きます。ワタのおかげで自然なとろみと黄金色のツヤがついた煮汁を、仕上げにかぼちゃの上からたっぷりと回しかけます。
実食の感想と「塩煮」が現代に合う理由
出来上がった「かぼちゃの塩煮」を実食します。お箸がスッと入る柔らかさで、口に運ぶと砂糖や醤油を一切使っていないとは思えないほど、かぼちゃ本来の濃厚で自然な甘みが口いっぱいに広がります。昔の日本かぼちゃは水分が多く糖度が低かったため、砂糖をたくさん使って煮る必要がありましたが、現代主流の西洋かぼちゃは非常に糖度が高いため、酒と塩だけで煮る方が素材の味が引き立ちます。もし余ったら、ヘラで潰してマヨネーズで和えるだけで絶品のかぼちゃサラダにリメイクできます。レンジ加熱よりも、鍋でゆっくり煮る方がデンプンが糖に分解する時間が長くなるため、かぼちゃの甘みを100%活かすことができます。
樋口直哉の料理論[Cooking theory]について
樋口直哉の料理論[Cooking theory]
登録者 7.9万人 ・ 家庭料理/調理科学
樋口直哉氏は、服部栄養専門学校卒業後、料理教室勤務や出張料理人などを経て、2005年に『さよならアメリカ』で群像新人文学賞を受賞した作家兼料理家です。同作は芥川賞候補にもなり、以降も小説やノンフィクションなど幅広い著作を発表しています。料理家としては調理科学をベースにしたレシピの考案・発信を行い、全国の食品メーカーや生産現場の取材記事の執筆、地域食材を活用したメニュー開発なども手がけています。主な著書には料理本『新しい料理の教科書』『ぼくのおいしいは3で作る』などがあり、東洋経済アワード2022も受賞しています。本チャンネルでは、調理科学の視点からおいしさを最大限に引き出すレシピを紹介しています。
※YouTubeチャンネルに遷移します
※チャンネル登録者数は記事の作成時点の数字で、最新の数値とは乖離がある場合があります。