七草粥は七草じゃなくていい|カブだけで作る「基本のおかゆ」 #七草がゆ #プロが解説

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Ingredients


1月7日の人日の節句に食べる七草粥を、カブとその葉だけでシンプルに作るレシピです。歴史的に見ても七草を必ず7種揃える必要はなく、江戸時代には2〜3種で作られていました。最大のポイントは「水から」ではなく「お湯から炊く」湯炊きの手法で、お米の粒感をしっかり残したさらっとした口当たりに仕上がります。水はお米の重量の10倍を使うのが基本の黄金比で、途中で混ぜないことがベタつきを防ぐ鍵です。

  • 下準備

    お米はザルでさっと水洗いし、たっぷりの水に15分ほど浸けて吸水させておく。これにより加熱時間を短縮できる。

  • 下準備

    カブの実は皮をむかずに皮ごと7〜8mmの角切りにする。葉は根元の土をよく洗い落とし、できるだけ細かく刻む。

  • 水加減

    水の量はお米の重量の10倍が黄金比。今回はお米45gに対して水450ml。

  • 火加減

    沸騰したお湯にお米とカブの実を投入し、底からざっくり一度だけ混ぜる。再沸騰したらすぐ弱火にして15分煮る。

  • 火加減

    加熱中は絶対に混ぜない。途中で混ぜるとお米の表面が削れて割れ、粘り気が出てベタついた仕上がりになる。

  • 調理法

    「湯炊き」にする理由:沸騰したお湯にお米を入れると表面のデンプンが瞬時に固まり、外へ溶け出すのを防ぐ。結果、一粒一粒の輪郭が残るサラッとしたおかゆになる。

  • 仕上げ

    15分煮た後にカブの葉と塩3gを加え、さらに1分だけ煮て完成。葉の緑色を活かすため煮込みすぎない。

4点

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  • 45g(大さじ3)
  • 450ml
  • カブ1〜2本(実と葉を使用)
  • 3g(小さじ1/2)
  1. 01

    お米をザルに入れてさっと水洗いし、たっぷりの水に15分浸けて吸水させる。

  2. 02

    カブの実と葉を切り分ける。実は皮ごと7〜8mmの角切りにする。葉は根元の隙間の土をよく洗い落とし、できるだけ細かく刻む。

  3. 03

    鍋(直径14〜15cm程度)に水450mlを入れて火にかけ、しっかりと沸騰させる。

  4. 04

    沸騰したお湯に、水気を切ったお米とカブの実を一度に投入する。底にくっつかないようヘラで底から一度だけざっくり混ぜる。

  5. 05

    再び全体が沸騰したらすぐに弱火に落とし、フタをせずにそのまま15分間煮る。この間は絶対に混ぜない。

  6. 06

    15分後、刻んだカブの葉と塩3gを加えてさらに1分間煮る。

  7. 07

    お米に粒感が残り、全体がさらっとした状態になれば完成。器に盛り付けて提供する。

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※ 動画の内容をトピックごとに整理してまとめています。

オープニングと「湯炊き」の魅力

みなさん、あけましておめでとうございます。作家で料理家の樋口直哉です。今回は1月7日の人日の節句に食べる「七草粥」の作り方をご紹介しながら、日本風のおかゆについて解説していきます。おかゆは体を温め、あっさりとして食べやすいことから、1月の行事食の隠れた主役として古くから尊ばれてきました。昔は「行平鍋」という土鍋を使い、水からゆっくりと時間をかけて炊き上げるのが良いとされていましたが、現代は通常の白いご飯にもしっかりとした食感やハリが求められる時代です。そこで今回のレシピでは、お湯からお米を加熱する「湯炊き」という調理法を採用します。この方法で作ることで、お米の粒感がしっかりと残った、現代人の好みに合う素晴らしいおかゆに仕上がります。

材料の黄金比と米の下準備

おかゆを美味しく作るための材料をご紹介します。2人前(お茶碗2杯分)の分量は、お米45g(大さじ3)、カブ1〜2本、塩3g(小さじ1/2)、そして水450mlです。一般的なおかゆのレシピはお米1合や半合を基準にすることが多いですが、今回は家庭で作りやすい最小分量として約1/4合のお米を使います。この量なら直径14〜15cmほどの小さめの鍋が最適です。下準備として、お米はザルに入れてさっと水洗いし、たっぷりの水に15分ほど浸けておきます。事前にお米にしっかりと吸水させておくことで、その後の加熱時間を大幅に短縮することができます。このひと手間が、お米の芯までふっくらと仕上げつつ、手早く調理を終わらせるための大切なポイントになります。

七草粥の歴史とカブだけでいい理由

春の七草といえばセリやナズナなどが有名で、セットになったパックもよく売られていますが、実は必ずしも7種類すべてを揃える必要はありません。七草粥の起源は「若菜摘み」という風習にありますが、これが「七草」として定着したのは室町時代から江戸時代にかけてのことです。当時の記録を見ると、必ず7種類を入れていたわけではなく、江戸時代には2〜3種類だけを入れて楽しんでいました。例えば京都ではカブとナの2種類、江戸ではナズナと小松菜が使われていたそうです。地方によってはゴボウやニンジン、干し大根など、その時手元にあるあり合わせの野菜で作られていました。今回は昔の京都の風習に倣い、手に入りやすい「カブ」とその「葉」だけを使って、シンプルで美味しいおかゆに仕上げていきます。

カブの下処理と皮ごと使うコツ

それでは、主役となるカブの下処理をしていきましょう。まずはカブの実と葉を切り分けます。カブの実は、今回は柔らかく煮込んでいくため、皮をむかずに皮ごと使って大丈夫です。皮ごと使うことで、カブ本来の風味や食感をより強く楽しむことができます。実は7〜8mmの小さめの角切りに揃えて切っていきます。次に葉の部分ですが、根元の隙間には土が入り込んでいることがあるため、水の中でしっかりと洗い流してください。きれいに洗った葉は、おかゆに混ぜたときに口当たりが良くなるよう、できるだけ細かく刻んでおきます。このように実と葉をそれぞれ適切な大きさに切り分けて準備しておくことで、加熱時の火の通りが均一になり、見た目も美しく仕上がります。

お湯から炊く実践テクニック

準備ができたら、いよいよお米を炊いていきます。鍋に水450mlを入れて火にかけます。おかゆ作りにおいて、お水の量はお米の重量の「10倍」にするのが基本の黄金比です。水がしっかりと沸騰したところに、水気を切ったお米と、先ほど角切りにしたカブの実を一度に投入します。お米を入れた直後は鍋の底にくっつきやすいため、ヘラなどで底からざっくりと全体を一度だけ混ぜ合わせてください。再び全体が沸騰したら、すぐに火力を弱火に落とし、ここから弱火のまま15分間煮ていきます。この加熱の途中でお米を触るのは絶対に厳禁です。途中で混ぜてしまうとお米の表面が削れて割れてしまい、粘り気が出てベタついた仕上がりになってしまうからです。

粒感を残す「湯炊き」の科学

なぜ水からではなく「お湯」から炊くのか、その科学的な理由を解説します。お米を水から加熱すると、お米に含まれるデンプンが糊化して粘り気が出る前に、水の中にどんどん溶け出してしまいます。これに対して、沸騰したお湯にお米を入れると、お米の表面にあるデンプンが溶け出す前に熱で一瞬にして固まります。この効果によってデンプンが外に流れ出るのを防ぐことができるため、お米同士がベタつかず、一粒一粒の輪郭がはっきりとしたサラッとしたおかゆになります。これは、お米のデンプンを十分に引き出してとろみをつける「中華粥」とは全く真逆のアプローチです。さらさらとした軽い口当たりと心地よい粒感を両立させるための、日本のおかゆならではの知恵なのです。

仕上げ・盛り付けと瓢亭の知恵

15分間煮たら、仕上げに入ります。細かく刻んだカブの葉と、塩3g(小さじ1/2)を鍋に加え、そこからさらに1分間だけ煮ます。葉の鮮やかな緑色を活かすため、煮込みすぎないのがポイントです。お米にしっかりとした食感が残り、全体がさらりとした状態になれば完成です。この「湯炊き」という手法は、朝がゆで有名な京都の老舗料亭「瓢亭」でも実際に使われています。大人数におかゆを提供する際、水から炊いたおかゆは時間が経つとお米が水分を吸って重く固まってしまいますが、湯炊きならお米が余分な水分を吸いにくいため、美味しさが長持ちします。出来立てのおかゆは格別の美味しさですので、ぜひご家庭でも作って、カブの優しい甘みと葉の爽やかな苦味を楽しんでみてください。

樋口直哉の料理論[Cooking theory]

樋口直哉の料理論[Cooking theory]

登録者 7.9万人 ・ 家庭料理/調理科学

樋口直哉氏は、服部栄養専門学校卒業後、料理教室勤務や出張料理人などを経て、2005年に『さよならアメリカ』で群像新人文学賞を受賞した作家兼料理家です。同作は芥川賞候補にもなり、以降も小説やノンフィクションなど幅広い著作を発表しています。料理家としては調理科学をベースにしたレシピの考案・発信を行い、全国の食品メーカーや生産現場の取材記事の執筆、地域食材を活用したメニュー開発なども手がけています。主な著書には料理本『新しい料理の教科書』『ぼくのおいしいは3で作る』などがあり、東洋経済アワード2022も受賞しています。本チャンネルでは、調理科学の視点からおいしさを最大限に引き出すレシピを紹介しています。

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