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同じ魚でも、切り方でこんなに違う?|鯛とヒラメの食べ比べで確かめる、筋の残り方と美味しさ【前編】

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Ingredients

50年の経験を持つ和食料理人が、鯛とヒラメの刺身について、一般的な切り方との違いを実演・食べ比べで解説します。包丁を入れる方向を変えることで、筋目を断ち切り、口に残る食感が大きく変わることを検証。白板昆布を使った昆布締めや鯛の皮を活かした和え物、ヒラメの皮の湯引き・炙り方など、白身魚を余すことなく美味しく調理するプロの工夫が満載です。

  • 切り方の基本
    • 筋目に対して垂直に近い角度で包丁を入れる逆引きにより、繊維をしっかり断ち切り、口当たりを滑らかにする
  • 包丁の使い方
    • 一般的な向きではなく、あえて引きづらい方向から包丁を入れることで、噛んだときの歯切れと食感が大きく改善される
  • 昆布締め
    • 白身魚には癖の少ない白板昆布を使用
    • あらかじめ脱水処理を行い、逆引きで切ったあとに白板昆布で挟んで熟成させる
  • 皮の調理
    • 生の皮を直接炙らず、あらかじめ串打ちして湯引きしゼラチン質を出し、冷やしてから表面を炙ることで、柔らかさと香りを両立できる
  • 食材の活用
    • 切り落とした削ぎ身や皮も無駄にせず、筋目に直交する方向で切り、盛り付けに活かす
    • 皮は大根おろしなどと和えて料理にする
  • 一口サイズの工夫
    • サクが大きい場合は腹側をテンパネ(切り落とし)して、口に入りやすい幅に整える
10点

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鯛の薄造り

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    鯛のサクを逆引きで薄く切る

    一般的な皮目を上にした切り方ではなく、皮目が見えない方向から包丁を入れる逆引きの技法を用いる。手前側を高くして筋目に対して垂直に近い角度で刃を入れることで、身の繊維をしっかり断ち切ることができる。

    筋目に垂直な角度が重要口に残る筋感を軽減歯切れの良さが実現される
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    切った鯛を食べ比べる

    一般的な切り方と逆引き切りを、かんずり入りポン酢またはわさび醤油で食べ比べる。逆引き切りは筋感がなく歯切れがよく、口の中で心地よく溶けることが確認できる。

    筋感の有無が明確に異なる口当たりの滑らかさを重視

鯛の平造り

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    大きなサクをテンパネで整形する

    サクが大きい場合、腹側をすき取るように切り落とし(テンパネ)、一口サイズに幅を整える。口の中で遊ばないように調整することが重要。

    口に入りやすいサイズを意識食べやすさを優先
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    切り落とした削ぎ身を活用する

    テンパネで切り落とした身(削ぎ身)は捨てず、筋目をしっかり断ち切る方向に包丁を入れて細かく切る。お刺身の脇に綺麗に添えて提供。

    食材を無駄にしない筋目に直交する方向で切る

鯛の皮の和え物

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    鯛の皮を湯引きする

    鯛の皮をしっかりと湯引き(松皮処理)し、ゼラチン質を引き出す。冷水で冷やして準備する。

    ゼラチン質を十分に引き出す冷やして締める
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    皮を細かく刻んで和える

    湯引きした皮を細かく刻み、大根おろし、自家製すだちポン酢、刻みネギを合わせる。上品な一品料理が完成。

    皮の旨味を活かすシンプルな合わせ

白身魚の昆布締め

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    魚の身を脱水処理する

    昆布締めにする前に、魚の身をあらかじめ脱水処理しておく。水分が残ると臭みにつながるため重要。

    脱水が必須臭み対策
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    逆引きで切り、白板昆布で締める

    脱水した身を逆引きで切った後、薄く削られた白板昆布を使用して挟んで締める。白板昆布は淡泊な白身魚本来の繊細な旨味を引き立て、出汁昆布のような強い癖を避ける。

    白板昆布を使用する理由白身魚の旨味を邪魔しない
  3. 3

    昆布締めを熟成させ、酢と塩で味わう

    昆布締めを熟成させた後、熟成させたすだち酢と塩で味わう。口の中に筋が残らない極上の味わい。

    熟成が味に影響塩とすだち酢で引き立てる

ヒラメの薄造り

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    ヒラメを逆引きで薄く切る

    ヒラメも鯛と同様、一般的な皮目を上にした切り方では筋が残る。あえて皮目が見えない方向から包丁を入れる逆引きで切ることで、4日目のムチムチとした食感が絶品の口当たりになる。

    鮮度による食感の変化も考慮逆引きで一貫性を保つ

ヒラメの皮の湯引き・炙り

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    生の皮に串打ちをして湯引きする

    ヒラメの生の皮を直接ガスバーナーで炙ると皮が硬く身に火が入りすぎてしまう。あらかじめ串打ちをして反り返りを防ぎながら湯引きをしてゼラチン質を出す。

    串打ちで反り返り防止ゼラチン質を十分に引き出す
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    冷やしてから表面を炙る

    湯引き後、冷水でしっかり冷やしてから最後に表面をバーナーで軽く炙る。芳醇な香りと柔らかさを両立できる。

    冷やすことが重要表面の軽い炙りに留める
この料理が美味しくなる理由

鯛やヒラメに含まれるイノシン酸に、昆布締めで白板昆布のグルタミン酸が加わることで、うま味の相乗効果が生まれ美味しさが向上します。また、昆布締めにより余分な水分が抜ける水分コントロール効果が働き、身が引き締まり旨味が凝縮されます。さらに、すだちポン酢の酸味が全体の味わいを引き締め、さっぱりとした後味をもたらします。

うま味成分水分コントロールpH・酸性度の役割

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※ 動画の内容をトピックごとに整理してまとめています。

AIの教える基本と大将の逆張り技法

和食料理人歴50年の和田遠大将が、魚の切り方について解説します。AIで「白身魚の寿司ネタの切り方」を検索すると、皮目を下にして尾の方から手前に引くように切るなど、一般的な和食の「基本」が表示されます。一般的には左に尻尾、右に頭を置き、引きやすいよう「向こう山高く手前を低く」置くのが基本とされています。しかし、大将のやり方はその一般的な常識とは真逆です。長年現場に立つ大将の包丁仕事は、一見するとセオリーに反しているように思えるかもしれませんが、そこには「お客さんの口に入った瞬間に一番美味しく感じられるようにする」という揺るぎない理由があります。一般論にとらわれず、実際の味と食感の違いを確かめる実践的な実演が始まります。

鯛の薄造りで検証する包丁と筋断ち

まずは鯛を使って一般的な切り方と大将流の切り方を比較します。一般的とされる薄造り(菊花造りなど)は、皮目を上にして包丁を斜めに入れ、引き切りにします。しかしこの切り方だと、サクの繊維(筋目)に沿って包丁が入るため、一口食べたときに筋が噛みきれず口の中に残ってしまいます。一方、大将の薄造りでは、あえて引きづらい方向から包丁を入れる逆引きという技法を用います。手前側を高くして筋目に対して垂直に近い角度で刃を入れることで、身の繊維をしっかりと断ち切ることができます。このちょっとした包丁の角度と方向の違いが、口に運んだときの歯切れの良さと口当たりの滑らかさを大きく左右します。

切り方の違いを実食評価とこだわりの道具

出来上がった2種類の薄造りを、新潟のかんずりを添えたポン酢やわさび醤油で食べ比べます。一般的な切り方の鯛は、噛んだときに口の中に筋感がはっきりと残りますが、大将が逆引きで切った鯛は歯切れが良く、口の中で心地よく解けます。さらに大将は、親指や薬指が当たらないようフチを浅く設計した特注の寿司皿や、刺身に均一に醤油をかけられるスプレー醤油など、道具へのこだわりも披露します。大将の目指すゴールは「見た目の美しさ」ではなく「お客様の口の中」です。盛り付けの見た目以上に、食べたときの美味しさを第一に考える料理人としての信念が伝わってきます。

大きなサクを一口サイズに整える平造りの技

サク(身の盤)が大きい鯛を平造りにする場合、そのまま切ると一切れが大きすぎて口の中で遊んでしまいます。そこで大将は、サクの端(腹側)をすき取るように切り落とすテンパネ(切り落とし)を行い、口に入りやすい幅に整えます。このときに切り落とした身(削ぎ身)も捨てるのではなく、筋目をしっかりと断ち切る方向に包丁を入れて細かく切り、お刺身の脇に綺麗に添えて提供します。身の厚みや大きさに合わせて包丁を入れる方向を変え、どの部位も美味しく食べられるように工夫することで、食材を無駄にせずお客様にとって最高のサイズ感と食感を作り出しています。

捨てるのは勿体ない鯛の皮を活かす旨味和え

多くの調理場で捨てられてしまいがちな鯛の皮ですが、大将は「美味いのに捨てるのは勿体ない」と語ります。しっかりと湯引き(松皮処理)した鯛の皮は、ゼラチン質が引き出されて非常に柔らかく、噛むほどに甘みと旨味が溢れ出します。細かく刻んだ皮に大根おろし、自家製のすだちポン酢、刻みネギを合わせるだけで、料亭に出てくるような上品な一品料理が完成します。クエやアラなどの大型魚だけでなく、鯛やヒラメ、コチといった白身魚の皮も湯引きすれば極上の食材になります。命を余すことなく使い切る職人の知恵と食材への敬意が詰まった料理法です。

白板昆布で白身の旨味を惹き立てる昆布締め

白身魚を昆布締めにする際、一般的な出汁昆布を使うと昆布の味が強すぎて白身魚本来の繊細な旨味が負けてしまうことがあります。そのため大将は、薄く削られた白板昆布を使用します。出汁昆布のような強い癖のある昆布はサバなどの青物に合わせるのが適しており、淡泊な白身魚には白板昆布が最適です。魚の身はあらかじめ脱水処理を行い、逆引きで切った後に白板昆布で挟んで締めます。しっかり脱水しておかないと水分が出て臭みにつながるためです。熟成させたすだち酢と塩で味わう昆布締めは、口の中に筋が残らず極上の味わいに仕上がります。

ヒラメの薄造りと皮目を柔らかく仕上げる湯引き

続いてヒラメの切り方を解説します。ヒラメも鯛と同様、一般的な皮目を上にした切り方では口の中に筋が残ってしまいます。あえて皮目が見えない方向から包丁を入れる逆引きにすることで、4日目でもムチムチとした食感のヒラメが絶品の口当たりになります。試食した浅見さんもその差に驚き、新潟の銘酒麒麟山と合わせて楽しむ一幕も。さらに皮目の炙りについても解説。生の皮を直接ガスバーナーで炙るだけでは皮が硬く身に火が入りすぎてしまいます。あらかじめ串打ちをして反り返りを防ぎながら湯引きをしてゼラチン質を出し、冷水で冷やしてから最後に表面を炙ることで、芳醇な香りと柔らかさを両立できます。

大将に聞いてみた!

大将に聞いてみた!

登録者 2.1万人 ・ 日本料理・和食

1958年福島県生まれ。中学卒業後に日本料理の世界へ入り、日本三大料亭の一つ『金田中』や懐石料理の名店『胡蝶』などで修行を積んだ。33歳で新宿歌舞伎町に割烹をオープンし、その後も蕎麦割烹・焼肉店・すっぽん料理屋など多業態の店舗を展開。調理師専門学校の特別講師や独立開業コンサルティングにも携わり、ミシュランの星シェフを含む数百人の弟子を育てた。現在はこの道50年の経験をもとに、日本料理の知識・技術・業界事情を発信するYouTubeチャンネル『大将に聞いてみた!』を運営している。

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