Recipe
究極のチキンブイヨンの秘密を大公開!基本から最新技術まで、樋口直哉が徹底解説 | チキンストック
Ingredients
- 鶏ガラ1kg
- 水2l
- 玉ねぎ1個
- にんじん1本
- セロリ1/2本
- トマト1/2個
- にんにく3~4片
- ローリエ2枚
- パセリの茎1本
- 黒こしょう10粒
- 鶏手羽肉350g
- 鶏むね挽き肉350g
- 水1.5l
- 玉ねぎ1/2個
- にんじん1/2本
- セロリ1/2本
- ローリエ1~2枚
「チキンブイヨン」とは
チキンブイヨンは、フレンチの基本となる出汁で、鶏ガラや鶏手羽肉からうま味とコラーゲンを抽出して作ります。動画では伝統的な深鍋でコトコト2時間煮込む基本のブイヨンと、圧力鍋で1時間30分で完成させる究極のブイヨンの2つのアプローチを紹介。焦がし玉ねぎや茹でこぼしなどのプロのテクニック、そして科学的な理由までを詳しく解説しています。
樋口直哉の料理論[Cooking theory]のご紹介 →
「チキンブイヨン」を美味しく作るコツ
-
下準備
- 鶏ガラは内臓(肺)を骨抜きで丁寧に取り除き、血を含んだドリップを十分に洗い流すことが重要
- 内臓が残るとスープが濁り、臭みの原因になる
-
下準備
- 関節の間に包丁を入れてガラを細かく切ることで、うま味やコラーゲンが早く溶け出しやすくなり、鍋の中でもかさばらなくなる
-
下準備
- 玉ねぎの一部をスライスして油をひかない鉄フライパンで真っ黒になるまで焼き、バーナーでしっかり焦がした焦がし玉ねぎを作ると、独特の香ばしい風味と琥珀色がスープに与えられる
-
下処理
- 沸騰したお湯にサッとくぐらせる茹でこぼしを行うことで、血液や筋肉に含まれる鉄イオンを抱えた血中タンパク質(アク)を除去し、スープの雑味や臭みを防ぐ
-
火加減
- 基本のブイヨンは沸騰後、極弱火に落とし、表面がポコポコと静かに波打つ状態で2時間煮込む
- コラーゲン抽出には90℃以上で最低90分以上の加熱が必要
-
火加減
- 圧力鍋では強火でかけ、圧力がかかったら弱火に落として1時間30分加熱
- 圧力により沸点が120℃~128℃に上がり、コラーゲン溶解とうま味抽出が劇的に早まる
-
味付け・仕上げ
- ハーブやスパイス(パセリ、ローリエ、黒こしょう)は最初から煮込むとえぐみが出るため、基本のブイヨンの場合は仕上げの30分前に加える
-
材料選択
- 圧力鍋版は、コラーゲンが最も豊富な鶏手羽肉と、細胞が壊れていて短時間で旨味が溶け出しやすい鶏むね挽き肉を組み合わせることで効率的に旨味を抽出
「チキンブイヨン」の材料
17点※ 材料名をタップするとAmazonで関連商品を探せます
「チキンブイヨン」の作り方・手順
基本のブイヨン
- 1
鶏ガラの下処理
鶏ガラの胸郭の内側にある内臓(主に肺)を骨抜きを使って丁寧に取り除きます。その後、水で洗って血を含んだドリップをしっかり流します。関節の間に包丁を入れてガラを細かくカットします。
- 2
焦がし玉ねぎの準備
玉ねぎ1個の一部をスライスして、油をひかない鉄のフライパンに入れ、強火で真っ黒になるまで焼きます。さらにバーナーも使ってしっかり焦がし、焦がし玉ねぎ(オニオン・ブリュレ)を作ります。
- 3
鶏ガラの茹でこぼし
沸騰したお湯にカットした鶏ガラをサッとくぐらせ、表面の汚れを落とします。冷水にさらします。
- 4
香味野菜のカット
玉ねぎ1個(焦がし玉ねぎ以外の部分)、にんじん1本、セロリ1/2本、トマト1/2個、にんにく3~4片を適度な大きさにカットします。
- 5
ブイヨンを煮出す
深鍋(容量4L、直径20cm程度)に湯通しした鶏ガラを入れ、水2Lを注いで強火にかけます。沸騰し始めると茶色いアクが浮いてくるので、丁寧にすくい取ります。アクが落ち着いたら、カットした野菜と焦がし玉ねぎを加え、野菜をガラの上に被せるように沈めます。
- 6
弱火で煮込む
火加減を極弱火に落とし、表面がポコポコと静かに波打つ状態で2時間煮込みます。
- 7
仕上げにハーブとスパイスを加える
煮込み始めてから1時間30分後(仕上げの30分前)に、パセリの茎1本、ローリエ2枚、軽く砕いた黒こしょう10粒を加えます。
- 8
濾す
2時間の煮込み後、ザルでスープを濾します。出来上がりは約1~1.2Lになります。
究極のブイヨン(圧力鍋版)
- 1
鶏肉の下準備
鶏手羽肉350gは関節部分を露出させるように切り、サッと湯通しして表面の汚れを洗います。
- 2
香味野菜のカット
玉ねぎ1/2個、にんじん1/2本、セロリ1/2本を細かく切ります。
- 3
圧力鍋で加熱する
圧力鍋に湯通しした手羽肉、鶏むね挽き肉350g、細かく切った香味野菜、水1.5L、ローリエ1~2枚を入れます。蓋をして強火にかけ、圧力がかかったら弱火に落とし、1時間30分加熱します。
- 4
濾す
加熱終了後、自然に圧力が下がったら蓋を開け、ザルでスープを濾します。
料理の科学
鶏肉や鶏ガラに豊富なうま味成分であるイノシン酸と、玉ねぎやトマトなどの野菜に含まれるグルタミン酸が合わさることで、うま味の相乗効果が働き、スープに深いコクが生まれます。また、加熱によって鶏のコラーゲンがゼラチンへと分解・抽出されることで、まろやかで厚みのある口当たりが形成されます。
「チキンブイヨン」の詳しい解説
※ 動画の内容をトピックごとに整理してまとめています。
2つのアプローチで学ぶチキンブイヨン
作家・料理家の樋口直哉氏が、フレンチの基本となる「チキンブイヨン(チキンストック)」の作り方を徹底解説します。今回は、伝統的な深鍋を使ってコトコト煮出す「基本のブイヨン」と、圧力鍋を駆使して短時間で旨味を凝縮させる最新の「究極のブイヨン」の2種類のアプローチを紹介。基本のブイヨンの材料は、鶏ガラ 1kg(約4〜5羽分)に対して水 2L、そして玉ねぎ、にんじん、セロリなどの香味野菜です。出来上がりは1L〜1.2Lほどになります。レシピ本には意外と書かれていませんが、これだけの分量を煮出すには、具材がかさばるため容量4L(直径20cm程度)の深鍋が必要です。動画では、樋口氏おすすめの「ジオ・プロダクト ポトフ鍋 20cm」を使用しています。
うま味とコラーゲンを引き出す下処理
美味しいスープを作るための大原則として、うま味物質は肉から、コラーゲン(ゼラチン)は関節から抽出され、骨自体からは味が出ないという科学的な理論があります。そのため、鶏ガラだけでスープをとると非常にあっさりした仕上がりになります。下処理の工程では、まずガラの胸狂の内側にある内臓(主に肺)を骨抜きを使って丁寧に取り除きます。内臓が残っているとスープが濁り、臭みの原因になるため、ここを綺麗にして水洗いし、血を含んだドリップをしっかり流すことが最も重要です。その後、関節の間に包丁を入れてガラを細かくカットします。動画では刃が厚く刃こぼれしにくい「鳥スキ包丁」を使用。細かく切ることで、旨味やコラーゲンが早く溶け出しやすくなり、鍋の中でもかさばらなくなります。
香味野菜の役割と焦がし玉ねぎの技法
ブイヨンに加える香味野菜には、それぞれ重要な役割があります。玉ねぎは甘みとグルタミン酸、そして肉の風味を強める硫黄化合物をプラスします。にんじんは甘み、セロリは爽やかな香りと、スープにコクを与えるフタライドという成分を補います。基本的には煮崩れてスープが濁るのを防ぐために野菜は大きく切りますが、今回は味の抽出を良くするために適度な大きさにカットします。特に重要なのが玉ねぎの処理です。一部をスライスし、油をひかない鉄のフライパンで真っ黒になるまで焼き、バーナーも使ってしっかり焦がした「焦がし玉ねぎ(オニオン・ブリュレ)」を作ります。これをスープに加えることで、独特の香ばしい風味と、ブイヨン特有の美しい琥珀色をスープに与えることができます。
アクの科学と「茹でこぼし」を選択する理由
本格的に煮出す前に、カットした鶏ガラを沸騰したお湯にサッとくぐらせる「茹でこぼし(湯通し)」を行います。スープに浮いてくるアクの正体は、血液や筋肉に含まれる鉄イオンを抱えた血中タンパク質が、脂質を巻き込んで固まったものです。これが水面に浮いて空気に触れると急速に酸化し、スープ全体が生臭くなる原因になります。科学的調理書『Modernist Cuisine』で行われた大規模なブラインドテストでも、一度茹でこぼしてから煮出したスープの方が、雑味や苦みがなく圧倒的に美味しいと評価されています。うま味成分であるアミノ酸は60℃以上の温度で時間をかけないと溶け出さないため、冷水にさらしたり、短時間お湯にくぐらせる程度では、大切な旨味が逃げてしまう心配はありません。
コトコト2時間煮込む基本のブイヨン
湯通ししたガラを深鍋に入れ、水 2Lを注いで強火にかけます。沸騰し始めると茶色いアクが浮いてくるので、これを丁寧にすくい取ります。アクが落ち着いたら、カットした野菜と焦がし玉ねぎを加えます。野菜をガラの上に被せるように沈めることで、ガラが水面から浮き出て空気に触れ、酸化して臭みが出るのを防ぐことができます。火加減は極弱火に落とし、表面がポコポコと静かに波打つ状態で2時間煮込みます。関節からコラーゲンを十分に抽出するには、90℃以上の温度で最低でも90分以上の加熱が必要です。仕上げの30分前になったら、パセリ、ローリエ、軽く砕いた黒こしょうを加えます。ハーブやスパイスは最初から煮込むとえぐみが出るため、最後に入れるのがプロのこだわりです。
圧力鍋で旨味を閉じ込める最新アプローチ
2つ目の方法は、圧力鍋を使用した現代的なアプローチです。材料には、コラーゲンが最も豊富な部位である鶏手羽肉 350gと、細胞が壊れていて極めて短時間で旨味が溶け出しやすい鶏むね挽き肉 350gを使用します。手羽肉は関節部分を露出させるように切り、サッと湯通しして表面の汚れを洗います。圧力鍋に肉、細かく切った香味野菜、水 1.5L、ローリエを入れ、蓋をして強火にかけます。圧力がかかったら弱火に落とし、1時間30分加熱します。圧力をかけることで鍋の中の沸点が120℃〜128℃まで上がり、コラーゲンの溶解とうま味の抽出が劇的に早まります。また、密閉空間のため香気成分が一切逃げず、空気に触れないため脂の酸化も防げ、非常にクリアで濃厚なスープに仕上がります。
伝統と革新、2つのスープの驚くべき違い
完成した2種類のブイヨンを濾して、温かい状態で飲み比べます。鍋でじっくり煮出した基本のブイヨンは、野菜の優しい甘みがしっかりと効いており、すっきりとした上品で飽きのこない味わいです。一方、圧力鍋で作った究極のブイヨンは、雑味が一切なく驚くほどクリアな口当たりでありながら、鶏の濃厚な旨味と、密閉によって閉じ込められた豊かな香りがダイレクトに口いっぱいに広がります。どちらもそれぞれの良さがあり、作る料理や好みに合わせて使い分けるのがおすすめです。家庭で一から丁寧に作ったブイヨンは、スープやソースに使うと料理の格を劇的に引き上げてくれます。少し手間はかかりますが、作ってみる価値は十分にあります。ぜひ一度、この感動的な美味しさに挑戦してみてください。
樋口直哉の料理論[Cooking theory]について
樋口直哉の料理論[Cooking theory]
登録者 7.9万人 ・ 家庭料理/調理科学
樋口直哉氏は、服部栄養専門学校卒業後、料理教室勤務や出張料理人などを経て、2005年に『さよならアメリカ』で群像新人文学賞を受賞した作家兼料理家です。同作は芥川賞候補にもなり、以降も小説やノンフィクションなど幅広い著作を発表しています。料理家としては調理科学をベースにしたレシピの考案・発信を行い、全国の食品メーカーや生産現場の取材記事の執筆、地域食材を活用したメニュー開発なども手がけています。主な著書には料理本『新しい料理の教科書』『ぼくのおいしいは3で作る』などがあり、東洋経済アワード2022も受賞しています。本チャンネルでは、調理科学の視点からおいしさを最大限に引き出すレシピを紹介しています。
※YouTubeチャンネルに遷移します
※チャンネル登録者数は記事の作成時点の数字で、最新の数値とは乖離がある場合があります。