簡単プロの技!究極のマッシュポテトの作り方|三つ星クラスの味

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Ingredients


遊離デンプンを防ぐことが究極のマッシュポテト作りの鍵。じゃがいもを1cm厚さにスライスして加熱温度90度で丁寧に加熱し、温かいうちに裏ごしして仕上げることでふわふわの食感を実現します。有塩バターと牛乳で口溶けをなめらかに整える、科学的かつシンプルな調理法です。

  • 下準備
    • じゃがいも200gを皮を剥いて1cm厚さにスライス
    • 丸ごと茹でると外側が過加熱してデンプンが流出するため、均一に火を通すことが重要
  • 下準備
    • カットしたじゃがいもを耐熱袋に入れ、牛乳75〜100g、有塩バター30gを加える
    • 水に沈めて空気をしっかり抜いて密閉し、熱伝導を良くする
  • 火加減
    • 低温調理器使用時は90度で30分加熱
    • 鍋使用時はごく弱火で95〜96度をキープ
    • 100度の沸騰状態だと袋内の牛乳が蒸発して破裂の危険がある
  • 加熱の科学
    • セルロース(細胞壁)は85度から、ペクチン(細胞接着物質)は80度から分解を始める
    • 90度で加熱することで柔らかさを最適化
  • 調理技法
    • 加熱後、じゃがいもが80度以上のうちに手早く裏ごし
    • 冷めるとペクチンが固まり細胞が壊れやすくなり粘り気が出る
    • 木べらを垂直に当て1回で押し通す
  • 味付け
    • 遊離デンプンを徹底排除することで、細胞壊れに由来するベタつきを防止
    • 有塩バターの塩気で追加塩は不要
  • 油脂
    • じゃがいも重量の20%(150gに対して30g)の有塩バターを使用
    • 脂肪分がデンプン粒を包み込み口当たりを滑らかにする
    • オリーブオイルでも可
3点

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  1. 1

    じゃがいも200gの皮を剥き、1cm厚さにスライスする

  2. 2

    耐熱袋にスライスしたじゃがいも、有塩バター30g、牛乳75〜100gを入れる

  3. 3

    袋をボウルの水に沈めて空気をしっかり抜き、密閉する

  4. 4

    低温調理器を使う場合:90度で30分加熱。鍋を使う場合:沸騰後ごく弱火に落とし、95〜96度で約30分加熱

  5. 5

    加熱後、袋からじゃがいもと液体(牛乳とバター)をザルで分ける。液体は別のボウルに取り置く

  6. 6

    じゃがいもが80度以上のうちに、木べらを垂直に当てて1回で押し通すイメージで裏ごし器にかける

  7. 7

    裏ごししたじゃがいもを液体が入ったボウルに戻す

  8. 8

    泡立て器を使って素早く混ぜ合わせ、一体化させる

  9. 9

    器に盛り付けて完成

この料理が美味しくなる理由

90度以上の加熱でじゃがいものペクチンが分解されて柔らかくなり、でんぷんが適度に糊化します。また、80度以上の熱いうちに裏ごしすることで、でんぷんの細胞を破壊せずに滑らかな食感を実現できます。最後に温かい牛乳やバターと素早く混ぜ合わせることで、水分と脂質が均一に乳化し、口当たりの良い仕上がりになります。

温度帯・加熱反応水分コントロール

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※ 動画の内容をトピックごとに整理してまとめています。

ジップロックで手軽に!新マッシュポテト

作家で料理家の樋口直哉氏が紹介する、三つ星クラスの味を家庭で再現する「究極のマッシュポテト」のニューバージョンです。以前、noteや著書『あたらしい料理の教科書』で紹介したレシピは、温度管理などの工程が少し複雑でした。しかし今回のレシピでは、じゃがいもをジップロックなどの耐熱袋に入れて加熱することで、大幅に手間を減らしています。さらに失敗を防ぐために低温調理器を使用しますが、原理さえ理解すれば、一般的なお鍋を使っても同様に美味しく作ることができます。特別な道具がなくてもプロの味に仕上げられる、シンプルかつ科学的なアプローチを取り入れた画期的な調理法となっています。

究極の味の秘密は遊離デンプンを防ぐこと

マッシュポテト作りにおいて最も重要なクッキングセオリーは、「いかにしてじゃがいもをベタつかせないか」という点にあります。世界一のマッシュポテトとして名高い、偉大なシェフであるジョエル・ロブションの「じゃがいものピュレ」も、このベタつきを徹底的に排除した口溶けの良さが特徴です。じゃがいもを茹でると細胞同士がバラバラになりますが、これを乱暴に扱うと細胞が壊れ、中からデンプンが染み出してしまいます。この染み出したデンプンは遊離デンプンと呼ばれ、マッシュポテトがネバつく直接の原因となります。水に片栗粉を溶いて加熱したときのようなドロッとした状態を避けるため、細胞を壊さずに手早く作業を進めることが究極の食感への第一歩です。

口溶けをなめらかにする油脂の黄金比率

極上の口溶けを実現するためのもう一つの秘密が、油脂の存在です。ジョエル・ロブションのレシピでは、じゃがいもに対して半量、あるいは等量という驚くほどの大量のバターが使われていましたが、脂肪分がデンプンの粒を包み込むことで、口当たりが劇的に滑らかになります。今回は家庭向けに現実的なバランスとして、じゃがいもの重量に対して20%の有塩バターを加えるレシピを採用しています。じゃがいも150gに対してバター30gという分量ですが、2〜3人で分ければ1人あたり10g〜15g程度です。朝食のトーストに塗るバターと同等なので、カロリーを過剰に心配する必要はありません。バターの代わりにオリーブオイルを使っても、同様に滑らかな効果を得ることができます。

均一に火を通すための1cmスライス

プロのレシピでは風味を逃さないために皮付きのまま丸ごと茹でることが推奨されますが、樋口氏は皮を剥いて1cmの厚さにスライスしてから茹でる方法を提案します。丸ごと茹でると、中心に火が通る前に外側が茹ですぎてしまい、外側の細胞が破裂してデンプンが流出する原因になるからです。スライスすることで全体に均一に火を入れることができます。じゃがいもは皮を剥くと約10%の廃棄が出るため、仕上がりで正味150gを確保するために、あらかじめ約200gのじゃがいもを用意します。カットしたじゃがいもを耐熱袋に入れ、牛乳75g〜100gとバター30gを加えたら、ボウルの水に沈めて空気をしっかりと抜いて密閉します。こうすることで熱伝導が良くなり、袋が浮くのを防げます。

低温調理器と鍋での加熱テクニック

袋に詰めたじゃがいもは、低温調理器を使う場合は90度で30分間加熱します。低温調理器がない場合でも、お鍋を使って同じように調理が可能です。お鍋にお湯をたっぷりと沸かしたら、ごく弱火に落としてから袋を入れます。このとき、口径の大きなお鍋を使うのがポイントです。ごく弱火に保つことでお湯の表面から水分が蒸発し、気化熱によってお湯の温度が95度〜96度前後に保たれます。もし100度の沸騰状態で加熱し続けると、袋の中の牛乳が沸騰して蒸発し、袋がパンパンに膨らんで破裂してしまう危険があります。また、お鍋のフチは高温になりやすいため、袋が直接フチに触れて溶けないように位置を調整しながら、約30分間じっくりと加熱してください。

野菜が柔らかくなる科学的な加熱温度

野菜を加熱調理する際、科学的に重要な境界線となるのが85度という温度です。これは、植物の細胞壁を構成しているセルロースという物質が分解を始める温度だからです。ちなみに、細胞同士を接着しているペクチンは80度から分解を始めます。キャベツやアスパラガス、人参などの野菜を、程よい歯ごたえを残しつつ加熱したい場合には、この85度をキープして調理するのが最適です。今回のマッシュポテト作りにおいては、じゃがいもをさらに柔らかくして、この後の裏ごし作業をスムーズに行えるようにするため、あえて少し高めの90度という温度設定でじっくりと加熱を行っています。

粘りを出さないための80度以上での裏ごし

加熱が終わったら袋を取り出し、ザルを使ってじゃがいもと水分(牛乳とバターが溶けた液)に分けます。この水分は後で使うので捨てずに取っておきます。ここからは時間との勝負です。じゃがいもが温かいうちに、手早く裏ごし器にかけていきます。じゃがいもが冷めて温度が80度を下回ると、接着剤の役割をしていたペクチンが再び固まり始めてしまいます。冷めた状態で無理に潰そうとすると、たくさんの細胞が破壊されて粘り気が出てしまうため、熱いうちに行うことが絶対条件です。裏ごしする際は、木べらをじゃがいもに対して垂直に当て、余計な摩擦を与えないように「1回で押し通す」イメージで手早く押し出すのが、細胞を壊さないプロのコツです。

ふわふわ食感の完成と肉料理への相性

裏ごししたじゃがいもを、先ほど分けておいた温かい牛乳とバターの液体が入ったボウルに戻します。これを泡立て器を使って素早く混ぜ合わせると、じゃがいもと液体が見事に一体化し、驚くほどなめらかなマッシュポテトが完成します。有塩バターの塩気があるため、追加の塩は不要です。お皿に盛り付け、パレットナイフやヘラで表面を綺麗にならすと、見た目も美しく仕上がります。一口食べると、驚くほど軽くてふわふわとした食感で、口の中でスッと消えていくような極上の味わいです。マッシュポテトは、ステーキやチキンソテーといった肉料理の付け合わせとして、これ以上ない万能な相棒となります。ぜひ特別な日のディナーに作ってみてください。

樋口直哉の料理論[Cooking theory]

樋口直哉の料理論[Cooking theory]

登録者 7.9万人 ・ 家庭料理/調理科学

樋口直哉氏は、服部栄養専門学校卒業後、料理教室勤務や出張料理人などを経て、2005年に『さよならアメリカ』で群像新人文学賞を受賞した作家兼料理家です。同作は芥川賞候補にもなり、以降も小説やノンフィクションなど幅広い著作を発表しています。料理家としては調理科学をベースにしたレシピの考案・発信を行い、全国の食品メーカーや生産現場の取材記事の執筆、地域食材を活用したメニュー開発なども手がけています。主な著書には料理本『新しい料理の教科書』『ぼくのおいしいは3で作る』などがあり、東洋経済アワード2022も受賞しています。本チャンネルでは、調理科学の視点からおいしさを最大限に引き出すレシピを紹介しています。

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