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イタリアンシェフが教えるヴェネツィアの郷土料理「イカの墨煮」【イタリアンプロ養成講座 vol.206】

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Ingredients

ヴェネツィアの伝統料理イカの墨煮を、日本でも入手しやすいスルメイカで再現するレシピです。玉ねぎ・アンチョビ・イカスミペーストで深い旨味のベースを作り、白ワインの酸をバランスよく調和させます。イカの肝を炒めて水分を飛ばすことで生臭さが極上の旨味に昇華し、30分以上の弱火煮込みでスルメイカを柔らかく仕上げます。定番のポレンタ代わりに茹でたお米を合わせ、濃厚なイカスミソースを受け止める最高のペアリングです。

  • 下準備
    • イカの肝(ワタ)は胴体から傷つけないよう慎重に引き抜き、胃袋・目玉・口ばしを取り除く
    • ゲソの吸盤は手でしっかりしごいて洗い流す
    • 骨はプラスチック状で途中で折らないよう注意して抜き取る
  • 火加減
    • 玉ねぎとニンニクはオリーブオイルで弱火でじっくり炒め、甘みを引き出す
    • イカの肝は水分が完全に飛ぶまで炒めることで生臭さが旨味に変わる
    • イカは30分以上弱火で煮込むことで繊維が崩れて柔らかくなる
  • 味付け
    • 玉ねぎの甘みで白ワインの酸と香りをしっかり抑え込むのが味わいのロジック
    • トマトソースと鶏のブロードを隠し味として加えることで、ソースに圧倒的なコクとボディが生まれる
  • 食材選定
    • スルメイカはコウイカに比べて墨の量が少ないため、市販のイカスミペースト(約8g)で補強する
    • 玉ねぎは丸ごと1個を贅沢に使い、均一で細かいみじん切りにすることが重要
  • 盛り付け・合わせ方
    • 茹でたお米に刻んだイタリアンパセリとオリーブオイルを和えることで、粘り気が抜けてポロポロとした軽い食感になり、濃厚なイカスミソースを受け止める
12点

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  1. 1

    ニンニクとオリーブオイルで香りの基盤を作る

    潰したニンニクとオリーブオイルを鍋に入れて弱火にかけ、ニンニクが綺麗な狐色に色づくまで加熱する。香りが立ちはじめたら、アンチョビを加えて香りを引き出す。

    弱火で加熱し、ニンニクの焦げに注意狐色になるまで待つ
  2. 2

    玉ねぎを極限まで細かくみじん切りにする

    玉ねぎは繊維に逆らって薄くスライスしてから寝かせて千切りにすることで、極めて細かく均一なみじん切りが完成する。切った玉ねぎをニンニクの鍋に投入し、軽く塩を振る。

    スライス→千切りの二段階が均一性のコツ塩を振ることで甘みが引き出される
  3. 3

    玉ねぎの甘みをじっくり引き出す

    玉ねぎを軽く炒めてしばらく放置し、甘みがしっかり引き出されるまで炒める。並行してスルメイカの下処理を行う。

    焦らず弱火でじっくり加熱玉ねぎが透き通ってきたら進める
  4. 4

    スルメイカの下処理をする

    胴体から肝(ワタ)を傷つけないよう慎重に引き抜き、胃袋・目玉・口ばしを取り除く。ゲソの吸盤は手でしっかりしごいて洗い流す。骨はプラスチック状で途中で折らないよう注意して抜き取る。

    肝を傷つけると全体が生臭くなる吸盤は完全にしごき落とす骨は奥深くまで入っているため慎重に抜く
  5. 5

    イカのゲソ・軟骨・肝を玉ねぎに加える

    下処理したイカのゲソと軟骨を細かくカット。取り分けておいた肝と一緒に玉ねぎの鍋に加える。

    ゲソは細かく切ることで味が出やすくなる
  6. 6

    肝の水分を完全に飛ばして旨味に昇華させる

    イカの肝を水分が飛ぶまでしっかり炒める。この工程を怠ると生臭さが残って味が淀むが、水分を完全に飛ばすことで、独特の生臭さが極上の旨味へと昇華する。

    生臭さが消えるまで炒め続ける水分が完全に飛ぶことが味わいの分岐点
  7. 7

    白ワインを加えてデグラッセする

    白ワインをたっぷり注ぎ、鍋肌にこびりついた旨味をこそげ落とすように混ぜ合わせる。アルコールが飛ぶまで加熱する。

    白ワインの酸と香りが強いため、玉ねぎの甘みで調和させるデグラッセでうま味成分を抽出
  8. 8

    ベースソースを完成させる

    トマトソース(小さじ1程度)、鶏のブロード、イカスミペースト(約8g)を加えてベースソースを作る。これらを加えることで、ソースに圧倒的なコクとボディが生まれる。

    トマトソースは隠し味程度の少量で十分すべての素材がしっかり混ざるまで混ぜる
  9. 9

    イカの胴体を加えて長時間煮込む

    輪切りにしたイカの胴体をベースソースに加え、少量の塩をして蓋をする。ここから弱火で30分以上じっくりと煮込む。スルメイカは中途半端な加熱だと硬くなるが、30分以上煮込むことで繊維が崩れて驚くほど柔らかくなる。

    必ず30分以上の弱火煮込み弱火を維持することで煮詰まりすぎるのを防ぐスプーンで簡単に切れるほど柔らかくなるまで煮込む
  10. 10

    塩分濃度1.5%の熱湯でお米を茹でる

    並行して、1.5%の塩分濃度の熱湯を用意し、お米を11分間パスタのように茹で上げる。日本米を使う場合もこの方法で対応可能。

    塩分濃度を正確に測ることで味の下地が決まる11分間は目安で、米の硬さを確認
  11. 11

    茹でたお米を仕上げる

    茹で上がったお米をしっかりと湯切りし、ボウルに移す。刻んだイタリアンパセリとオリーブオイルをサッと和える。お米を茹でることで余分な粘り気が抜け、ポロポロとした軽い食感になり、濃厚なイカスミソースをしっかりと受け止める最高の相棒になる。

    湯切りを完全に行うことが軽い食感のコツオリーブオイルをサッと和えることで風味が加わる
  12. 12

    盛り付けと試食

    お皿にハーブが香る茹でたお米を盛り、その上からカレーのように真っ黒なイカの墨煮を豪快に盛り付ける。スルメイカはスプーンで簡単に切れるほど柔らかく、肝とイカスミ、トマトが渾然一体となった圧倒的なコクのソースが特徴。

    30分以上煮込まれたイカは非常に柔らか濃厚な旨味はサンジョヴェーゼなどの赤ワインと相性が良い
この料理が美味しくなる理由

イカやアンチョビ、イカスミに含まれるイノシン酸やアミノ酸系のうま味成分と、玉ねぎ、トマトソース、鶏のブロードに含まれるグルタミン酸が合わさることで、うま味の相乗効果が働き、深いコクが生まれます。また、白ワインの酸味や玉ねぎの甘味が加わることで、五味のバランスが整い、味わいに奥行きがもたらされます。

うま味成分五味・六味のバランス

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※ 動画の内容をトピックごとに整理してまとめています。

ヴェネツィアの郷土料理をスルメイカで

参宮橋のイタリアン「Regalo」の小倉知巳シェフがお届けするプロ養成講座。今回は、昨日が二日酔いだったというシェフの少し気だるげな雑談からスタートします。この時期はお寿司屋さんで食べる新イカ(スミイカの幼魚)の握りが大好物だというシェフですが、本日挑戦するのはヴェネツィア料理の定番であるイカの墨煮(セピア・アル・ネロ)です。本来この料理にはコウイカ(スミイカ)を使用するのが基本ですが、今回は日本のスーパーでも手に入りやすく、誰でも気軽に挑戦できるスルメイカを使って家庭でも再現しやすいプロの味を伝授してくれます。イカの旨味を極限まで引き出すシェフならではのこだわりと、お馴染みの軽快なトークを交えながら、本格的なイタリア地方料理の魅力を分かりやすく紐解いていきます。

美味しさを構築する計算された食材たち

今回の主役はスルメイカですが、それと同じくらい重要なのが玉ねぎです。イカ1杯に対して玉ねぎを丸ごと1個贅沢に使うのが小倉流。さらにニンニク1〜1.5片、深みを出すアンチョビを約10g用意します。スルメイカはコウイカに比べて墨の量が少ないため、補強用として市販のイカスミペースト(約8g)が必須アイテムとなります。そして、酸味と香りをプラスするために白ワインをたっぷりと使用します。この白ワインの強い酸と香りを、玉ねぎの甘みでしっかりと抑え込んで調和させるのが美味しさのロジックです。さらに、あれば深みを増す鶏のブロード(出汁)と、旨味のベースを底上げし濃度をつけるためのトマトソースをスプーン1杯ほど隠し味として加えることで、ソースに圧倒的なコクとボディが生まれます。

丁寧な下ごしらえと旨味のベース作り

調理はまず、潰したニンニクとオリーブオイルを鍋に入れて弱火にかけることから始まります。その間に玉ねぎをみじん切りにします。繊維に逆らって薄くスライスしてから寝かせて千切りにすることで、極めて細かく均一なみじん切りが完成します。ニンニクが綺麗な狐色に色づいたらアンチョビを加えて香りを引き出し、みじん切りの玉ねぎを投入して軽く塩を振り、甘みを引き出すようにじっくり炒めてしばらく放置します。並行してスルメイカの掃除を行います。胴体から肝(ワタ)を傷つけないように慎重に引き抜き、胃袋、目玉、口ばしを取り除きます。ゲソの吸盤は口当たりを悪くするため、手でしっかりとしごいて洗い流します。骨を抜く際は、奥までしっかり入っているプラスチック状の骨を途中で折らないよう注意して抜き取ります。

肝を炒め極限まで煮込むソースの秘密

下処理したイカのゲソと軟骨を細かくカットし、取り分けておいた肝と一緒に玉ねぎの鍋に加えます。ここでの最大のポイントは、肝の水分をしっかりと飛ばすまで炒めることです。この工程を怠ると生臭さが残って味が淀んでしまいますが、水分を完全に飛ばすことで、独特の生臭さが極上の旨味へと昇華します。水分が飛んだら白ワインを注ぎ、鍋肌にこびりついた旨味をこそげ落とすように混ぜ合わせます。アルコールが飛んだらトマトソース、鶏のブロード、そしてイカスミペーストを加えてベースソースを作ります。そこに輪切りにしたイカの胴体を加え、少量の塩をして蓋をします。ここから弱火で30分以上じっくりと煮込みます。スルメイカは中途半端な加熱だと硬くなりますが、30分以上煮込むことで繊維が崩れて驚くほど柔らかくなります。

定番のポレンタではなく『茹でたお米』

現地ヴェネツィアではイカの墨煮に白いポレンタ(トウモロコシの粉を練ったもの)を合わせるのが定番ですが、シェフは「実はポレンタがあまり好きではない」と本音を吐露。そこで、修行時代にロンバルディア州のベルガモで学んだ、魚介の煮込みに茹でたお米を合わせるスタイルを提案します。本来はカルナローリ米などの大粒のイタリア米が適していますが、今回は家庭にある日本米で代用します。1.5%の塩分濃度の熱湯で、お米をパスタのように11分間茹で上げます。茹で上がったらしっかりと湯切りをし、ボウルに移して刻んだイタリアンパセリとオリーブオイルをサッと和えます。お米を茹でることで余分な粘り気が抜け、ポロポロとした軽い食感になり、濃厚なイカスミソースをしっかりと受け止める最高の相棒になります。

見た目はカレー?至高の試食ペアリング

お皿にハーブが香る茹でたお米を盛り、その上からカレーのように真っ黒なイカの墨煮を豪快に盛り付けます。見た目はまさに「イカスミカレー」そのものですが、一口食べればその完成されたイタリアンの味わいに驚かされます。30分以上煮込まれたスルメイカは、スプーンで簡単に切れるほど柔らかく、肝とイカスミ、トマトが渾然一体となったソースは圧倒的なコクを放ちます。この濃厚な一皿に合わせるワインは、トスカーナの赤ワインロッソ・ディ・モンタルチーノ(品種:サンジョヴェーゼ)。イカの濃厚な旨味と赤ワインの程よい渋みと酸味が口の中で完璧に調和し、シェフも思わず「めちゃくちゃ合う!」と大絶賛。身近な食材でできる本格的なヴェネツィアの味を、ぜひ自宅でワインと共に楽しんでみてください。

小倉知巳のイタリアンプロ養成講座

小倉知巳のイタリアンプロ養成講座

登録者 24.8万人 ・ イタリアン

小倉知巳氏は、東京・参宮橋にあるイタリアンレストラン「Regalo」のシェフです。自身のYouTubeチャンネルでは、イタリア料理の世界を目指す料理人に向けて、ロジカルな視点で料理を解説する動画を発信しています。プロを目指す方への実践的な内容が特徴のチャンネルです。

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