Recipe
【家庭で適温調理】赤身しっとり、脂身トロトロ。旨味を一滴も逃がさない豚肉の白ワインブレゼ
Ingredients
- 豚肩ロース肉(塊)適量
- 塩適量
- コショウ適量
- 強力粉適量
- 油揚げ焼き用
- ニンニク1片
- 玉ねぎ1/2個
- 人参1/3本
- セロリ1/3本
- 白ワイン200ml程度
- キャベツ1~2枚
- ブーケガルニ(ハーブまとめ)1束
- ポンドレギューム(野菜だし)適量
- ブライン液用:水1L、塩 30g(3%)、砂糖 20g(2%)
「豚肩肉の白ワインブレゼ」とは
豚肩肉をブライン液に漬け込み、湯煎(バンマリー)を使って適温調理することで、赤身がしっとり、脂身がトロトロに仕上がる白ワインブレゼ。タンパク質の変性温度を80~85℃でコントロールし、加熱後に煮汁の中で冷ましながら旨味を再吸収させることが、パサつきを防ぎ極上の仕上がりを実現するカギとなります。
タイムスタンプ
「豚肩肉の白ワインブレゼ」を美味しく作るコツ
-
下準備
- 豚肉をブライン液(水に対して塩3%・砂糖2%)に一晩漬け込む
- 塩が筋肉のタンパク質を融解して水分保持力を高める
-
下準備
- 漬け込み後、表面の水分をしつこいほどしっかり拭き取り、強力粉をまぶして180~190℃の油で表面をカリッと揚げ焼きにする(リソレ)
-
火加減
- 湯煎(バンマリー)を使い、内側の鍋肉を80~85℃に保つ
- 直火で100℃近くまで加熱するとタンパク質が激しく収縮して水分が流出してしまう
-
火加減
- 豚肉は66℃を超えると雑巾を絞るように急速に収縮
- 一方、コラーゲンがゼラチン化するには75℃以上で1~2時間必要
- この温度範囲を湯煎で実現する
-
仕上げ
- 加熱終了後、すぐに取り出さず煮汁の中で常温まで1時間冷ます
- 筋繊維が緩みながら周囲の旨味を再吸収する
「豚肩肉の白ワインブレゼ」の材料
14点※ 材料名をタップするとAmazonで関連商品を探せます
「豚肩肉の白ワインブレゼ」の作り方・手順
- 1
豚肉をブライン液に漬ける
ブライン液(水1Lに塩30g、砂糖20g)を作り、豚肩ロース肉を一晩浸す。塩が筋肉タンパク質を融解してスペースを作り、砂糖が水分保持力を高める。
- 2
肉の表面を拭き取り下味をつける
ブライン液から肉を取り出し、表面の水分をペーパーでしつこいほどよく拭き取る。塩・コショウを振る。
- 3
粉をまぶして揚げ焼きにする
強力粉をまぶし、180~190℃の油で表面全体をカリッと揚げ焼きにする(リソレ)。肉の風味を引き出し、焼き色をつける。
- 4
香味野菜を炒める
別の鍋でニンニク、玉ねぎ、人参、セロリのミルポワ(香味野菜)を炒める。
- 5
白ワインを加えてアルコール飛ばし
白ワインを注ぎ、アルコール分を飛ばす。
- 6
湯煎のセッティング
一回り大きな鍋に水を張り、網を敷く。その上に揚げた肉と野菜が入った鍋をのせる。外側の鍋の水を沸騰させることで、内側の鍋の温度を80~85℃に保つ。
- 7
鍋に具材を詰める
揚げた肉を鍋に入れ、キャベツ、ブーケガルニ、ポンドレギューム(野菜だし)を注ぐ。蓋をして上からお皿などの重しをのせ、密閉空間を作る。
- 8
湯煎で加熱(1回目)
外鍋の水を沸騰させた状態で、内鍋の肉を1時間加熱する。温度は80~85℃で一定に保たれる。
- 9
肉をひっくり返す
1時間経ったら肉をひっくり返す。
- 10
湯煎で加熱(2回目)
さらに1時間、同じ温度で加熱する。合計2時間の加熱で、赤身の水分流出を最小限に抑えつつ、コラーゲンをゼラチン化させる。
- 11
火を止めて冷ます
火を止め、肉を煮汁の中で常温まで1時間冷ます。この間に、冷めていく過程で筋繊維が緩み、周囲の旨味がたっぷり溶け込んだスープをスポンジのようにお肉が吸い戻す(旨味の再吸収)。
- 12
盛り付け
冷めた肉をカットして盛り付ける。断面から肉汁が滴り、赤身がしっとりピンク色に仕上がっている。
料理の科学
ブライン液に漬けることで肉の保水性が高まり、加熱しても水分が失われずしっとりと仕上がります。また、表面を焼き付けることでメイラード反応が起こり、香ばしさと深いコクが生まれます。さらに、酸性の白ワインによる肉の軟化効果や、野菜のグルタミン酸と豚肉のイノシン酸によるうま味の相乗効果が働き、料理全体の美味しさが飛躍的に向上します。
「豚肩肉の白ワインブレゼ」の詳しい解説
※ 動画の内容をトピックごとに整理してまとめています。
豚肉の白ワインブレゼに挑む
はい、どうも!料理人VTuberの高御仁(たかみじん)でございます。今回のテーマは、家庭でできる適温調理、豚肉の白ワインブレゼをご紹介します。塊肉を煮込むと、どうしても赤身がパサパサになってツナのような食感になってしまう一方で、脂身はトロトロになる。この相反する仕上がりをなんとか両立できないかとお悩みの方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、あえてサシ(脂身)がほとんど入っていない赤身の豚肩ロース肉を使い、2つの異なるアプローチで調理を実演します。それぞれの仕上がりの違いを見ていただいた上で、なぜそのような違いが生まれるのかを科学的な視点から専門的に解説していきます。それでは早速、作り方の方にいってみましょう!
通常の鍋で煮込むシンプルなブレゼ
まずは1つ目の作り方です。豚肩ロース肉に塩・コショウを振り、表面の水分をペーパーでよく拭き取ってから強力粉をまぶします。これを約180度から190度の油で表面をカリッと揚げ焼き(リソレ)にします。鍋にニンニク、玉ねぎ、人参、セロリのミルポワ(香味野菜)を炒め、白ワインを加えてアルコールを飛ばします。そこに揚げたお肉、キャベツ、ハーブをまとめたブーケガルニ、そして野菜の皮などで取ったポンドレギューム(野菜だし)を注ぎます。蓋をして、さらに上からお皿などの重しをのせて密閉し、弱火で1時間煮込みます。お肉をひっくり返してさらに1時間、合計2時間煮込んだら、火を止めて1時間休ませて完成です。カットしてみると、脂身はプルプルですが、赤身はやはり水分が抜けてツナのようにパサついてしまいます。
ブライン液と湯煎を用いたアプローチ
続いて2つ目の方法です。今回はお肉を事前にブライン液(水に対して塩3%、砂糖2%を溶かしたもの)に一晩漬け込みます。一晩経ったらお肉を取り出し、表面の水分をしつこいほどよく拭き取ってから、同様に粉をまぶして揚げ焼きにします。そしてここからが最大のポイントです。直接火にかけるのではなく、一回り大きな鍋に水を張り、そこに網を敷いてからお肉の入った鍋をのせるバンマリー(湯煎)という技法を使います。外側の鍋の水を沸騰させることで、内側の鍋の温度を直接火にかけるよりも低い温度で一定に保ちます。この状態で同じように蓋をして、片面1時間ずつ、合計2時間加熱し、最後に1時間休ませます。カットしてみると、断面から肉汁が滴り、赤身が驚くほどしっとりピンク色に仕上がっているのが分かります。
なぜ肉はパサつく?変性温度の科学
ここからは専門的な解説パートです。なぜお肉がパサパサになってしまうのか、その最大の原因は調理温度が100度を超えてしまうことにあります。お肉の赤身部分(アクチン)は、66度を超えると雑巾を絞るように激しく収縮し始め、細胞内の水分を外へ放出してしまいます。一方で、お肉を柔らかくするために必要な筋やコラーゲンをトロトロのゼラチンに変えるには、75度以上の温度で1〜2時間加熱し続ける必要があります。つまり、普通に鍋でグツグツと100度近い温度で煮込んでしまうと、コラーゲンが柔らかくなる頃には、赤身の水分が完全に抜けきってパサパサのツナ状態になってしまうのです。この温度のジレンマを解決することが、しっとりトロトロに仕上げるための鍵となります。
ブライン液がもたらす保水タンク効果
2つ目の方法で最初に行ったブライン液への漬け込みには、非常に重要な科学的意味があります。単にお肉に水分を含ませるだけでなく、塩分の働きによって筋肉を構成するタンパク質の一部を融解させ、筋繊維をほぐしてスペースを作ります。そこに砂糖(糖分)が加わることで、水分を抱え込む力(保水力)が劇的に高まります。これはいわば、お肉の内部に「保水タンク」を拡張して作り出すような作業です。このタンクがあるおかげで、加熱によって赤身が収縮する際にも水分が外に逃げにくくなり、限界までジューシーさを保つことができるようになります。このひと手間が、パサつきを防ぐための強力なセーフティネットになるのです。
湯煎(バンマリー)による適温調理
そして、2つ目の方法で用いたバンマリー(湯煎)のシステムこそが、パサつきの根本原因を排除するロジックです。外側の鍋の湯が100度近くで沸騰していても、内側の鍋肌の温度は約90度、中の煮汁の温度は80度から85度という絶妙な温度帯でロックされます。この温度帯こそが、赤身が縮みきって水分を放出しすぎるのを防ぎつつ、コラーゲンだけをじっくりと溶かしてゼラチン化させることができる「理想の温度帯」なのです。このように、肉や魚のタンパク質の変性をコントロールして支配する手法を、フランス料理ではキュイッソン・ア・ジュスト・タンペラチュール、日本語で適温調理と呼びます。プロの現場では高価な真空調理器などを使いますが、家庭でもこの湯煎システムを使えば見事に再現可能です。
旨味を閉じ込める「再吸収」のプロセス
加熱が終わった後、すぐに肉を取り出さずに「煮汁の中で常温まで1時間冷ます」という工程も絶対に省いてはいけません。熱い状態のままお肉を取り出してしまうと、緊張した筋繊維から一気に水分が蒸発してパサパサになってしまいます。火から下ろした後、煮汁の中でゆっくりと温度が下がっていくにつれて、加熱によって収縮していた筋繊維が徐々に緩んでいきます。するとお肉は、周囲にある白ワインや香味野菜の旨味がたっぷりと溶け込んだ極上のスープを、まるでスポンジのようにお肉の内部へとグングン吸い戻していくのです。この旨味の再吸収を行うことで、カットした時にしっとりとジューシーで、噛むたびに旨味が溢れ出す最高のブレゼが完成します。
フレンチシェフ高御仁のガチレシピについて
フレンチシェフ高御仁のガチレシピ
登録者 6,310人 ・ フランス料理
高御仁(たかみ じん)は、フランス料理の技術と理論をベースに活動する料理人Vtuberです。世界のレシピを深掘りしながら、料理の背景にある「なぜ?」という哲学までわかりやすく解説することを特徴としています。視聴者の料理レベルアップを目標に掲げており、将来的にはプロ仕様のキッチンスタジオの設立や、ライブ配信を通じた視聴者との同時調理イベントの実現を目指しています。2025年8月に動画を初投稿し、2026年5月には登録者数5000人を突破しました。
※YouTubeチャンネルに遷移します
※チャンネル登録者数は記事の作成時点の数字で、最新の数値とは乖離がある場合があります。