【本田直之×くすのき】「天ぷらの概念が変わった」10年前の衝撃の出会いと、AI時代に生き残るオリジナリティ

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Ingredients


東京・四ツ谷の名店くすのきが提供する、従来の天ぷら概念を変える独自の天ぷら調理法。金目鯛を熱した鉄で炙る「鉄たたき」、天ぷらを蒸し料理として捉える車海老調理、2日間の水分調整を施したとうもろこしなど、食材の個性を最大限に引き出す技法の数々。揚げ手が責任を持って塩梅を調整し、複数の塩をブレンドすることで、素材への敬意と現代的な進化を実現させている。

  • 下準備
    • とうもろこしは天ぷらにする前に丸2日間かけて水分を調整し、甘みと香りを極限まで引き出す
  • 火加減
    • 金目鯛は炭火ではなく熱した鉄心を皮目に押し当てる「鉄たたき」を使用
    • 炭の香りが強く付きすぎるのを避け、魚本来の香りを引き出す
  • 調理方法
    • 天ぷらは揚げ料理ではなく蒸し料理として捉える
    • 衣の中で食材の水分を使って蒸し上げながら、余分な水分を油に逃がすことで旨味と香りを凝縮させる
  • 味付け
    • 複数の塩をブレンドして配合
    • 水に溶かしたり大根スティックにかけたりして相性をテストし、塩の個性(甘さやまろやかさ)を研究する
  • 塩梅調整
    • 揚げ手が責任を持って最適な塩梅に調整
    • 顧客が勝手に塩やタレを足さないよう、カウンターに調味料を置かず、塩の入っていない出汁で塩梅を体験させる
  • 食材選択
    • 車海老は現代の綺麗な三河湾産や養殖品を使用
    • 臭みがないため、適切な処理後に旨味の詰まった味噌を活かした「海老だれ」として提供する
10点

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  1. 1

    とうもろこしを丸2日間かけて水分を調整する

  2. 2

    金目鯛の皮目に熱した鉄心をジュッと押し当てる「鉄たたき」を施す

  3. 3

    天ぷら衣を準備する(小麦粉、卵、水を混ぜる。衣は軽く、食材の蒸し調理を優先)

  4. 4

    車海老を衣に包み、油で揚げる。衣の中で食材の水分で蒸し上げながら、余分な水分を油に逃がす

  5. 5

    車海老の味噌を活かした「海老だれ」を準備する

  6. 6

    とうもろこしを衣に包み、同様に揚げる

  7. 7

    複数の塩をブレンドした塩で味を調整する

  8. 8

    揚げ手が責任を持って最適な塩梅に調整し、提供する

  9. 9

    塩の入っていない出汁とともに提供し、塩梅を体験させる

この料理が美味しくなる理由

天ぷら衣で食材を包み揚げることで、内部の水分による蒸し調理が行われ、車海老やとうもろこしの旨味と甘味が凝縮されます。また、事前にとうもろこしの水分を調整し、揚げる過程で余分な水分を逃がす高度な水分コントロールにより、食感と風味が向上します。さらに、金目鯛への局所的な加熱(鉄たたき)や、ブレンド塩と出汁による緻密な塩梅の調整が、五味のバランスを劇的に高めています。

水分コントロール温度帯・加熱反応五味・六味のバランス

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※ 動画の内容をトピックごとに整理してまとめています。

ゲスト紹介と『オリジナリティ』の重要性

今回のゲストは、ライフスタイルプロデューサーとして世界中を旅しながら多領域で活躍する本田直之さん。本田さんはこれまでに77冊の本を出版していますが、その中でも今年出版した『オリジナリティ』が一番好きな本だと語ります。現在のようにAIが台頭する時代において、人間に最も必要なものは「オリジナリティ」であり、それ以外のことはAIに取って代わられてしまうと指摘。料理においても、単に「美味しい」と感じるだけでなく、その背景にあるバックストーリーや、オリジナリティをどのように作り上げていくのかというプロセスを世の中の人に知ってもらいたいという熱い想いが、この本には込められています。

金目鯛の鉄たたきとこだわりの技法

最初に振る舞われたのは、旬の金目鯛を使った「鉄たたき」です。熱した鉄心をジュッと皮目に押し当てて炙るこの技法は、魚本来の香りを大切にするためのもの。炭火で炙ると炭の香りが強く付きすぎてしまうため、あえて鉄心を使うことで、金目鯛の甘い脂の香りをダイレクトに引き出しています。この料理に合わせるのは、本田さんも酒造りに携わっているという日本酒「日日(にちにち)」。店主のくすのきさんは、サワラなどの魚にはアルコールのフランベの炎で炙る「酒だたき」という技法も使うと語り、食材の個性を最大限に活かすために、常に新しいアプローチを模索し続けているこだわりが垣間見えます。

飲食人としてのあり方と進化する伝統

くすのきさんは、常連客から「去年のままで十分美味しいから、レシピ通りにやればいいのに」と言われることもあるそうです。しかし、「同じことを繰り返していては面白みのない人間になってしまう。常にブラッシュアップし、模索している姿を見せることこそが飲食人の生き様であり、魅力に繋がる」と熱く語ります。本田さんもこれに同意し、「伝統は変わらないもの」という一般的な認識に対して、江戸時代の寿司と現代の寿司が全く異なることを例に挙げ、伝統とは時代に合わせて進化していくものだと指摘。くすのきでは、揚げ手が責任を持って最適な塩梅に整えて提供するスタイルを貫いており、これこそが「くすのきの流儀」となっています。

10年前の衝撃的な出会いと塩梅の洗礼

二人の出会いは約10年前、アンジャッシュの渡部建さんから「名古屋にとんでもない天ぷら屋がある」と紹介されたことがきっかけでした。当時、天ぷらは東京が本場だと思っていた本田さんは半信半疑で店を訪れます。席に着くと、カウンターにはタレや塩が置かれておらず、店主から「塩梅は私が調整するので、勝手にやらないでください」と言われ、さらに塩の入っていない出汁を出されて「この塩梅を体験してください」と促されます。この徹底したこだわりに本田さんは「これ凄えな!」と大きな衝撃を受け、その時の体験は今でも鮮明に覚えていると語ります。常識を疑い、「なぜ、なぜ」と突き詰める姿勢が、記憶に残る食事を生み出しています。

天ぷらは蒸し料理:車海老の天ぷら

次に提供されたのは、天ぷらの王道である車海老。くすのきさんは「天ぷらは揚げ料理ではなく、衣を纏った蒸し料理である」という持論を展開します。衣の中で食材自体の水分を使って蒸し上げ、同時に余分な水分を油の中に逃がす(脱水する)ことで、食材の旨味と香りを極限まで凝縮させるのがくすのきの技術です。また、車海老の頭(顎脚)だけを提供する伝統的なスタイルについて、100年前の東京湾の浅瀬で獲れた泥臭い車海老の味噌を除去するための名残であったと説明。現代の綺麗な三河湾の車海老や養殖の海老には臭みがないため、適切な処理を施した上で、旨味の詰まった味噌を活かした「海老だれ」として提供することが、素材への敬意であると語ります。

とうもろこしの天ぷらと塩のブレンド

続いて登場したのは、宮崎県産のゴールドラッシュという品種のとうもろこし。このとうもろこしは、提供する前に丸2日間かけて水分を調整し、天ぷらにすることで甘みと香りを極限まで引き出しています。本田さんが「塩は何を使っているの?」と尋ねると、くすのきさんは「複数の塩をブレンドして配合している」と明かします。塩を直接味見するだけでは分かりにくいため、水に溶かしたり、大根スティックにかけたりして相性をテストし、根菜が甘くなる塩や酸味がまろやかになる塩などを研究してブレンドしているそうです。この極上のとうもろこしの天ぷらに、本田さんがアドバイザーを務める「ドン ペリニヨン」を合わせ、最高のペアリングを堪能しました。

本田直之にとって「くすのきの天ぷら」とは

トークの最後に、カードから「本田さんにとってくすのきの天ぷらとは?」という質問が飛び出します。本田さんは「天ぷらに対する概念を大きく変えてくれたもの」と即答。10数年前に初めてこの店を訪れた際、「この人は何を言っているんだろう」と最初は戸惑ったものの、実際に料理を口にして「これからはこういう時代になるな」と直感したと言います。お寿司が進化してきたように、天ぷらも進化しなければならない。それを劇的な技術と、店主の軽妙なトークやプレゼンテーションで体現しているのが「くすのき」であり、わざわざ名古屋から通う価値のある、唯一無二 of 存在であると改めてその魅力を語りました。

くすのきチャンネル

くすのきチャンネル

登録者 3,270人 ・ 天ぷら/和食

天ぷらの名店『くすのき』による、食の本質を伝えることをテーマにしたYouTubeチャンネルです。揚げ手の楠忠師氏は、高校の調理科を卒業後、名古屋の料亭で修業し、天ぷら担当をきっかけにその奥深さに魅了されました。2003年に名古屋で独立し、2018年6月に東京・四ツ谷へ移転して現在に至ります。チャンネルでは天ぷらを通じて日本の食文化や料理の深みを発信しています。

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