Recipe
寿司に鮮度は、邪魔|白身魚の熟成編
Ingredients
- 白身魚(鯛)1尾
- 塩適量
- 塩水氷水適量
「熟成白身魚の握り寿司」とは
とれたての白身魚は鮮度が高すぎてお寿司に不向きという逆説を解説。神経締めから始まり、脱水処理、密閉と塩水氷水保存を経て、3日間の熟成で身を柔らかくし旨味を凝縮させる工程を実演。熟成によって筋肉繊維が分解され、ネタとシャリが調和する最高の握り寿司が完成します。
「熟成白身魚の握り寿司」を美味しく作るコツ
-
下準備
- 神経締めした鯛を使用することで、筋肉の劣化や自己消化を抑え、熟成に適した状態を保つ
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下準備
- 腹骨や中骨を丁寧に取り除く際、鮮度が良い魚は身が締まっているため、複数回に分けて少しずつ取る技術が必要
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下準備
- 脱水処理:塩を振ったバットを斜めに立てかけて1時間冷蔵保存し、余分な水分を落とすことで菌繁殖を防ぎ旨味が流れるのを防ぐ
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保存
- ペーパーで表面の水分を拭き取った後、袋に入れて空気を抜き(真空パック機がなければ息を吸い出して簡易密閉)、塩水氷水に保存して酸化と雑菌繁殖を防止
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熟成
- 3日間の熟成で酵素が働き筋肉繊維が分解され、身が柔らかくなってシャリとの一体感が生まれ、鯛の甘みが格段に強くなる
-
ネタ切り
- 熟成した身はねっとりして包丁に吸い付くため、ネタ切りには技術が必要
- 尻尾の先端はスジが強いため使用しない
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握り
- 熟成した柔らかい身を握ることで、ネタとシャリの一体感が自然に生まれ、光沢のある美味しい握りに仕上がる
「熟成白身魚の握り寿司」の材料
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「熟成白身魚の握り寿司」の作り方・手順
- 1
白身魚(鯛)を神経締めして、筋肉の劣化と自己消化を抑える
- 2
腹骨を複数回に分けて少しずつ取り除き、中骨を包丁で取る
- 3
塩を振ったバットの上に鯛を置き、身全体に塩を振る
- 4
バットを斜めに立てかけて冷蔵庫で1時間脱水させ、余分な水分を落とす
- 5
脱水後、ペーパーで表面の水分を丁寧に拭き取る
- 6
鯛の身を袋に入れて空気を抜き、密閉する
- 7
密閉した袋を塩水氷水に入れて、一定の温度で保存する
- 8
3日間熟成させる
- 9
熟成後、皮を引いてネタ切りする(尻尾の先端は使用しない)
- 10
熟成した身を握り、シャリとネタを一体化させて完成
料理の科学
神経締めによりエネルギー消費を抑えた鯛は、3日間の熟成(酵素反応)によってATPが分解され、うま味成分であるイノシン酸が劇的に増加します。また、塩を振って冷蔵庫で脱水(水分コントロール)することで、余分な水分が抜けて身が引き締まり、うま味が凝縮されます。さらに、低温での密閉保存により、腐敗を防ぎながら自己消化によるアミノ酸の増加を促し、極上の味わいへと変化します。
「熟成白身魚の握り寿司」の詳しい解説
※ 動画の内容をトピックごとに整理してまとめています。
寿司と刺身の決定的な違い
刺身で食べて美味しい魚と、お寿司にして美味しい魚には決定的な違いがあります。多くの人が「新鮮なら何でも美味しい」と勘違いしていますが、とれたての白身魚は、お寿司としてはまだ完成していません。今回は、朝に生きていた鯛を 神経締め したものを用意しました。神経締めを行うことで、魚の筋肉の劣化や自己消化を抑え、旨味を引き出す熟成に適した状態を保つことができます。この鯛を触ってみると、身にしっかりとした弾力があります。身を強く曲げても身割れが一切起きないのは、鮮度が良くハリがある証拠です。プロがどのように魚を寿司へと進化させていくのか、その熟成の理由と技術をこれから詳しく公開していきます。
鮮度が良すぎる鯛の試食と寿司への不適合性
まずは鯛の下処理から始めます。鮮度が良い鯛は 腹骨 が強くくっついているため、かなり取りづらいです。そのため、何回かに分けて少しずつ取るようにします。また、骨抜きでも骨が抜けないほど身が締まっているので、包丁を使って 中骨 を取っていきます。この状態の身を少しだけ試食してみると、コリコリとした強い歯ごたえが感じられます。しかし、これはお寿司には不向きな食感です。なぜなら、コリコリとした鯛の身と柔らかいシャリが口の中でバラバラになってしまい、一体感が失われてしまうからです。現状の鯛はお造りやカルパッチョなど、食感を楽しむ料理には向いていますが、お寿司にするには熟成が必要です。
旨味を凝縮させるための脱水処理
お寿司に適した状態にするため、鯛の余分な水分を抜く 脱水 の処理を行います。水分が多いままだと、熟成中に菌が繁殖しやすくなり、旨味が流れてしまう原因にもなります。まず、バットなどの板に塩を振り、その上に鯛を置いて、鯛の身全体にも満遍なく塩を振っていきます。塩を振ったら、冷蔵庫の中で1時間脱水させます。このとき、バットを斜めに立てかけておくのがコツです。こうすることで、脱水された水分が下に流れ落ちるようになります。1時間後、バットの底に水分がしっかりと流れ出ているのが確認できれば、上手く脱水ができている証拠です。
安定した熟成環境を作る密閉と氷水保存
脱水が終わったら、ペーパーで表面の余分な水分を丁寧に拭き取ります。次に、鯛の身を袋に入れて空気をしっかりと抜きます。真空パック機があれば便利ですが、なければ袋の口から息を吸い出すことで、簡易的に空気を抜くことも可能です。袋を密閉することで、酸化や雑菌の繁殖を防ぎ、安定した熟成環境を作ることができます。最後に、この袋を 塩水氷水 の中に入れて保存します。この方法をとることで、常に一定の温度で安定して保管できるようになり、身の変化が穏やかになって、魚特有の臭みも出にくくなります。
3日間の熟成がもたらす身の変化とネタ切り
こちらが3日間熟成させた鯛です。まずはペーパーで余分な水分を拭き取ります。時間の経過とともに筋肉が緩み、繊維がしっとりと柔らかくなっています。熟成によって酵素が働き、筋肉繊維が分解されることで、身の透明感はやや薄れてくすんだ白のようになりますが、これは旨味を蓄えた証拠です。皮を引いてみると、3日経っても皮目の赤い部分がしっかり残っており、脂ものっています。次に ネタ切り を行いますが、尻尾の先端はスジが強いため、お店では使いません。熟成した身はねっとりとして包丁に吸い付くため、ネタ切りには少し技術が必要です。
熟成鯛の握りと、寿司職人の本質
ネタ切りした鯛を握っていきます。熟成した鯛の身はとても柔らかく、握っている段階でネタとシャリの一体感が非常に良くなっているのが分かります。鯛の脂も程よく感じられ、光沢のある美味しそうな握りに仕上がりました。実際に食べてみると、鯛の甘みが格段に強くなっており、ネタとシャリが口の中で見事に調和します。白身魚を美味しくお寿司にするには、熟成が必須であると改めて実感できます。今回の鯛であれば最低3日、クエなどの大きな魚であればさらに長い期間の熟成が必要です。ただ新鮮な魚を使うのではなく、お寿司に最適な状態に整えていくことこそが、寿司職人 の仕事の本質なのです。
蒼の鮨 sushi-chef aoについて
蒼の鮨 sushi-chef ao
登録者 3.2万人 ・ 和食/寿司
消防士から寿司職人へ転身し、独立後6年連続で黒字経営を続けている寿司職人が運営するチャンネルです。寿司の技術・レシピ・仕込みの考え方に加え、修業や独立の実情、店舗経営についても自身の経験をもとに発信しています。寿司職人を目指す方や技術を深めたい方を主な対象としており、技術・レシピ・経営の三つを柱としたコンテンツを展開しています。オンライン講座「江戸前寿司学校」も運営しており、江戸前寿司の技術から独立後の経営知識まで体系的に学べる環境を提供しています。
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