Recipe
カニ味噌はアク抜きで変わる|甲羅を外した後の処理とウス・刺身の考え方まで大将が語る|カニの奥深い話 Part.2
Ingredients
- 活きズワイガニ適量
- 塩適量
- 昆布出汁適量(湯引き用)
- 水(アク抜き用)適量
- 氷(カニ刺し用)適量
「活きズワイガニの下処理(カニ味噌アク抜き・ウス処理・カニ刺し)」とは
和食料理人歴50年の大将が、活きズワイガニを最大限に美味しく仕上げるための下処理技法を解説する動画です。甲羅を外した後のカニ味噌のアク抜き・塩打ち・蒸し方、胴体(ウス)のエラ除去と塩による脱水処理、さらにカニ刺しにおける赤い膜の重要性と昆布出汁を使った湯引き刺身の作り方までを網羅しています。部位ごとに火入れ方法を変えるという大将の鉄則を中心に、プロの現場で培われた細かいこだわりが随所に語られています。
「活きズワイガニの下処理(カニ味噌アク抜き・ウス処理・カニ刺し)」を美味しく作るコツ
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下準備
甲羅を外した後、カニ味噌をそのままにしておくとアクが出るため、すぐにザルとボウルを使って水にさらし、水を2〜3回取り替えるアク抜きを行う(所要時間5〜6分)。
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下準備
アク抜き後のカニ味噌に適量の塩を振り、指で優しく混ぜて脱水させる。活きているカニは塩をすることで余分な水分が抜け、旨味が凝縮される。
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火加減
カニ味噌を蒸す際は、甲羅を斜めにして水気が溜まらないようにし、蒸し器の蓋を少しずらして蒸気を逃がしながら優しく(弱めに)蒸し上げる。強火で一気に蒸さないことが重要。
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下準備
ウス(胴体)に付いているエラ(ガニ・フンドシ)は必ず完全に取り除いて洗い流す。エラを付けたまま蒸すとアクが身全体に回ってしまう。
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下準備
綺麗にしたウスは裏表に塩を振り、足を切り落とした断面のリング状の部分にもしっかり塩を入れる。穴を下にして5分ほど置き、活きた身から余分な水分を脱水させる。
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火加減
部位によって火入れを分けるのが大将の鉄則。カニの足は水からボイル、カニ味噌とウスは蒸し器で蒸すという方法を使い分ける。
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調理技法
カニ刺しの「花を咲かせる」際は、赤い膜(旨味が詰まっている)を剥がさずに残し、氷を張ったボウルの中で水道の蛇口を指で狭めて強い水圧を作り、カニの身に直接当てて花を開かせる。氷水に浸けっぱなしにして旨味を逃さないようにする。
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仕上げ
大将の最もお薦めのカニ刺しの仕上げは「湯引き」。塩味を少し加えた温かい昆布出汁にカニの身をくぐらせ、表面だけをサッと煽る。出汁から上げた後は水にさらさず陸上げ(ざるに上げてそのまま冷ます)し、冷蔵庫で冷やして昆布の香りとカニの風味を馴染ませる。
「活きズワイガニの下処理(カニ味噌アク抜き・ウス処理・カニ刺し)」の材料
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「活きズワイガニの下処理(カニ味噌アク抜き・ウス処理・カニ刺し)」の作り方・手順
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01
【甲羅を外す】活きズワイガニの甲羅を外し、カニ味噌が付いた甲羅と胴体(ウス)に分ける。
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02
【カニ味噌のアク抜き】ザルとボウルを用意し、甲羅ごとカニ味噌を水にさらす。水を2〜3回取り替えながら5〜6分ほどアク抜きを行う。最初は黒っぽく濁っていた水が透明になればアク抜き完了。
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03
【カニ味噌に塩を振る】アク抜きが終わったカニ味噌に適量の塩を振り、指で優しく混ぜる。ザルを斜めにして水気をしっかり切る。
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04
【カニ味噌を蒸す】甲羅を斜めに置いて水気が溜まらないようにし、蒸し器の蓋を少しずらして蒸気を逃がしながら、弱めの火で優しくふんわりと蒸し上げる。
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05
【ウスのエラ除去】胴体(ウス)に付いているエラ(ガニ・フンドシ)を完全にむしり取り、綺麗に洗い流す。
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06
【ウスに塩を振る】綺麗にしたウスの裏表に塩を振り、足を切り落とした断面のリング状の部分にもしっかり塩を入れる。穴を下にした状態で5分ほど置き、余分な水分を脱水させる。
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07
【ウスを蒸す】脱水が終わったウスを蒸し器で蒸す。(カニの足は別途、水からボイルする。)
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08
【カニ刺し・花の咲かせ方】カニの身の赤い膜は剥がさずに残す。氷を張ったボウルを用意し、水道の蛇口を指で狭めて強い水圧を作り、カニの身に直接水圧を当てて花(チリチリした開き)を咲かせる。氷水に浸けっぱなしにしない。
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09
【湯引き仕上げ】塩味を少量加えた温かい昆布出汁を用意し、赤い膜を残したカニの身をしゃぶしゃぶのようにくぐらせ、表面だけをサッと湯引きする。
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10
【陸上げ・冷却】湯引き後は水にさらさず、ザルに上げてそのまま冷ます(陸上げ)。冷蔵庫で冷やし、昆布の香りとカニの風味を馴染ませてから提供する。
「活きズワイガニの下処理(カニ味噌アク抜き・ウス処理・カニ刺し)」の詳しい解説(動画の書き起こし)
※ 動画の内容をトピックごとに整理してまとめています。
カニ味噌の「アク抜き」が甘さを引き出す秘訣
甲羅を外すと出てくるカニ味噌。活きているズワイガニを扱う際、甲羅を外した後にそのままにしておくと、時間とともに「アク」が出てきます。以前紹介した伊勢海老の時と同様に、カニもアクが非常に出やすい食材です。そこで大将が実践しているのが、甲羅を外した後にすぐに行うアク抜きです。ザルとボウルを用意し、甲羅ごとカニ味噌を水にさらします。水を2〜3回ほど取り替えると、最初は黒っぽかったエキスが混ざった水が、徐々に真っ透明な水へと変わっていきます。このアク抜きにかかる時間はわずか5〜6分程度。このひと手間を加えることで、カニ味噌の雑味が消え、驚くほど甘くなります。世間でカニ味噌独特の渋みや苦みだと思われているものの多くは、実はアク抜きをせずにアクごと一緒に蒸してしまっていることが原因なのです。
極上の食感に仕上げる「塩の脱水」と「ふんわり蒸し」
アク抜きを終えたカニ味噌は、ただ蒸すだけではなく、絶妙な塩加減と火入れが重要になります。アクが抜けて綺麗になったカニ味噌に、ちょうど良い加減の塩を振り、指で優しく混ぜ合わせます。活きているカニの組織はまだ生きているため、塩をすることで脱水が始まり、余分な水分(汗)が抜けて旨味が凝縮されます。水分を十分に切り、ザルを斜めにしてさらに水気を落とした後、いよいよ蒸し器に入れます。蒸す際も甲羅を斜めにして水気が溜まらないようにし、蒸し器の蓋を少しずらして隙間を作り、蒸気を逃がしながら優しくふんわりと熱を入れます。強火で一気に蒸すのではなく、繊細な味噌をいたわるように優しく蒸し上げることで、アクがなく、柔らかくてとろっとした極上のカニ味噌が完成します。
アクを回さないための「ウス」の徹底処理と塩打ち
甲羅を外した胴体部分である「ウス(肩肉)」の処理にも、大将ならではの強いこだわりがあります。ウスには「フンドシ」と呼ばれるエラ(ガニ)が付いていますが、これを付けたまま蒸してしまうと、エラから出るアクが身全体に回って台無しになってしまいます。そのため、大将はエラを完全にむしり取って綺麗に洗い流します。ウスの表面を覆う薄い甲羅はペリペリと柔らかいのが特徴です。綺麗にしたウスは、1つずつ丁寧に裏表に塩を振ります。さらに、足を切り落とした断面のリング状の部分にもしっかりと塩を入れます。塩を打って穴を下にした状態で5分ほど置いておくと、活きた身から余分な水分が抜ける脱水が始まります。この処理を行うことで、身が引き締まり、旨味が格段にアップします。活きたカニの場合、足は水からボイルし、味噌とウスは蒸し器で蒸すというように、部位によって火入れを分けるのが大将の鉄則です。
丸ごと茹でる固定観念と、大将の失敗から生まれたこだわり
世間には「カニは丸ごと大きいまま茹でる、または蒸すもの」という昔ながらの固定観念がありますが、大将はこれに疑問を投げかけます。丸ごとの姿はお客さんに出す際に見栄えが良く豪華ですが、調理科学的には「魚を丸焼きにしているのと同じ」だと言います。浜茹でのように、水揚げされてすぐに超高火力の大きな釜で茹でるなら味噌は流れませんが、一般的な厨房や家庭で大量のカニを一度に茹でると、お湯の温度が100度から70度近くまで急降下してしまい、沸騰が維持できずに味噌が流れ出てしまいます。大将自身も、昔商売を始めたばかりの頃に仕入れたカニで同様の失敗を経験し、「なんとか美味しく調理できないか」と試行錯誤を重ねた結果、現在の部位ごとに分ける丁寧な仕込みにたどり着いたという貴重なエピソードを語ってくれました。
赤い膜を残して旨味を逃さない大将流「カニ刺し」
カニの刺身(カニ刺し)でよく見られる、身をチリチリと「花を咲かせる」技法についても、大将は独自の理論を持っています。カニの身の周りには赤い膜があり、これは甘エビの表面と同様に、カニの旨味や風味が最も詰まっている非常に美味しい部分です。多くの料理人がこの膜を剥ぎ取り、氷水に長時間浸して花を咲かせますが、大将はそのやり方はしません。大将流の花の咲かせ方は、水道の蛇口を指で狭めて強い水圧(圧)を作り、氷を張ったボウルの中でカニの身に直接強い水圧を当てる方法です。この強い圧をかけることで、旨味の詰まった赤い膜を残したままでも、身を美しくチリチリと開かせることができます。氷水に浸けっぱなしにして旨味を水に逃がすことなく、カニ本来の風味を最大限に引き出すためのプロの技術です。
昆布出汁でサッと煽る!大将が太鼓判を押す「湯引き刺身」
大将がお客さんにお刺身を出す際、実は「生のまま」では提供しません。大将が最も美味しいと太鼓判を押すのは、赤い膜を残したカニの身を、塩味を少し加えた温かい昆布出汁にくぐらせ、表面をサッと「煽る(湯引きする)」方法です。しゃぶしゃぶのように表面だけに一瞬熱を入れることで、活きの良いカニほど身がキュッと締まり、甘みと風味が劇的に引き立ちます。出汁から引き揚げた身は、水にさらさずにそのままザルに上げて冷ます「陸上げ(おかあげ)」を行い、冷蔵庫で冷やして昆布の香りとカニの風味を馴染ませます。これをお客さんの来店時間に合わせて仕上げて提供します。完全に生で食べるよりも、表面にほんの少し熱を加える「湯引き」という日本料理の伝統技法を用いることで、カニのポテンシャルを極限まで高めることができるのです。
カニの多様な魅力と、これからの季節に楽しむ「ワタリガニ」
ズワイガニの漁期は地域によって異なり、例えば福井県などでは3月下旬頃にシーズンが終了します。しかし、カニの楽しみはそれだけではありません。大将は「これからの季節に美味しくなるカニを知っていますか?」と問いかけ、春から夏にかけて旬を迎える「ワタリガニ(ガザミ)」を紹介します。ワタリガニはズワイガニに比べて足に肉がほとんどありませんが、その真価は甲羅の中に抱く「内子(うちこ)」にあります。この濃厚な内子をホクホクとした極上の食感に仕上げてお客さんに美味しく提供するためには、ズワイガニとは全く異なる茹で方や蒸し方の技術が必要になります。カニの種類や部位、状態によって最適なアプローチを変えることこそが、和食料理人として50年のキャリアを持つ大将がたどり着いた、カニ料理の奥深い世界です。
大将に聞いてみた!について
大将に聞いてみた!
登録者 2.1万人 ・ 日本料理・和食
1958年福島県生まれ。中学卒業後に日本料理の世界へ入り、日本三大料亭の一つ『金田中』や懐石料理の名店『胡蝶』などで修行を積んだ。33歳で新宿歌舞伎町に割烹をオープンし、その後も蕎麦割烹・焼肉店・すっぽん料理屋など多業態の店舗を展開。調理師専門学校の特別講師や独立開業コンサルティングにも携わり、ミシュランの星シェフを含む数百人の弟子を育てた。現在はこの道50年の経験をもとに、日本料理の知識・技術・業界事情を発信するYouTubeチャンネル『大将に聞いてみた!』を運営している。
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