カニはまず洗う|活きていても死んでいても水洗いが味を左右する理由を大将が語る|カニの奥深い話 Part.1

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Ingredients


和食料理人歴50年の大将が、活きズワイガニを美味しく仕上げるための下処理と調理の基本を解説しています。カニを加熱する前にたわしで念入りに水洗いすることが、臭みやベタつきを防ぐ最重要工程です。足と甲羅(味噌)は最適な火入れ時間が異なるため、別々に調理します。足は冷水から塩を加えて茹で始め、ふわふわに仕上げる「陸上げ」を行います。カニの活きの良さによって「茹でる」か「蒸すか」を使い分けることが、カニ料理の奥深さであり失敗しない秘訣です。

  • 下準備

    活きたカニでも死んだカニでも、加熱前にたわしを使って殻の裏表を徹底的に擦り洗いする。これを怠ると体液由来のぬめりが加熱後もベタつき、臭みが身に浸透する原因になる。

  • 下準備

    カニを締めた後、甲羅から足を外して別々に調理する。足と甲羅(味噌)では最適な火入れ時間が異なり、丸ごと茹でると足が硬くなりすぎる。

  • 火加減

    足は沸騰したお湯にいきなり入れず、冷たい塩水から茹で始める。徐々に温度を上げることで身がふわふわに仕上がる。

  • 火加減

    沸騰してからカニの大きさに合わせて1分〜1分半茹でる。茹で上がったらすぐザルに上げる「陸上げ」にする。氷水での急冷は風味が抜けるため行わない。

  • 火加減

    元気なカニの味噌は茹でると固まるが、へばって元気のないカニの味噌は茹でると流れ出しやすい。元気のないカニは蒸す調理法を選ぶと味噌が流れ出ず美味しく仕上がる。

  • 素材の見極め

    海から上がったばかりの元気なカニと、やや弱ったカニとでは調理法を変える必要がある。カニの「勢い」を見極めることが美味しい仕上がりの大前提。

3点

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  1. 01

    活きたカニの状態(元気があるか、へばっているか)を観察して見極める。

  2. 02

    カニを締める。

  3. 03

    たわしを使い、カニの殻の裏表を流水で徹底的に擦り洗いし、ぬめりや汚れを落とす。

  4. 04

    甲羅から足を外し、足部分と甲羅(味噌)を別々に分ける。

  5. 05

    【足の茹で方】鍋に冷たい水と塩を入れ、足を冷水の状態から入れて火にかける。

  6. 06

    水が沸騰してからカニの大きさに合わせて1分〜1分半茹でる。

  7. 07

    茹で上がったらすぐにザルに上げて陸上げにする(氷水には入れない)。

  8. 08

    【味噌の調理】カニが元気な場合は茹でる。カニがへばって元気がない場合は蒸す調理法を選ぶ。

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※ 動画の内容をトピックごとに整理してまとめています。

活きたズワイガニの状態を見極める重要性

和食料理人歴50年の大将が、今回は「活きたズワイガニ」をテーマにカニの奥深い魅力を語ります。大将によると、活きているカニであっても、海から上がったばかりの元気なものから、少しへばって元気がなくなっているものまで状態は様々です。豊洲市場に直接仕入れに行ったり、地元から直接取り寄せたりする中で、大将は常にカニの勢いを見極めています。この「見極め」ができないと、その後の調理でカニを本当に美味しく仕上げることはできません。カニ料理は、ただ茹でたり蒸したりすれば美味しくなるという単純なものではなく、素材の元気さに合わせたアプローチが必要不可欠なのです。

茹でる・蒸す前の大前提「たわしでの水洗い」

カニを茹でる、または蒸す前に、絶対にやらなければならない最も重要な工程が「水洗い」です。大将は、カニを締めた後、たわしを使って裏表を徹底的にきれいに擦り洗いします。YouTubeなどの動画でも、この擦り洗いをせずにそのまま茹でたり蒸したりしているケースが意外と多いそうですが、大将に言わせればそれは「あり得ない」ことです。カニの殻を口につけてしゃぶるように食べるお客様のことを考えると、殻の表面をきれいに洗うことは衛生面だけでなく、味の面でも極めて重要な第一条件となります。このひと手間を惜しまないことが、プロの料理人としてのこだわりです。

水洗いを怠るとカニが臭くベタつく理由

なぜそこまで念入りに水洗いをする必要があるのでしょうか。その理由は、カニの自己防衛本能にあります。カニは身を守るために体液を出し、自分の表面をぬるぬるしたものでコーティングします。これがカニの「アク」であり、臭いや嫌な味の元になります。水洗いをせずに加熱すると、このぬめりが殻の表面でベタつき、冷蔵庫で寝かせている間にその嫌な臭いが身の中にまで浸透してしまいます。カニは茹でた翌日に食べると味が馴染んでさらに美味しくなりますが、水洗いが不十分だと時間の経過とともにベタつきと臭いだけが進行してしまいます。だからこそ、最初の水洗いが味を大きく左右するのです。

足と甲羅は分けて火入れする大将のこだわり

一般的にはカニを丸ごと一匹で茹でることが多いですが、大将は活きているうちに甲羅から足を外して別々に調理します。なぜなら、細い「足」と、肉厚な甲羅の中にある「味噌」とでは、最適な火入れ時間が全く異なるからです。丸ごと茹でてしまうと、味噌に火が通る頃には足に熱が入りすぎてしまい、身が硬くなって美味しさが損なわれてしまいます。大将も昔は一匹丸ごと茹でていた時期があったそうですが、どうしても全体のバランスが悪く、最高の仕上がりにはならなかったと言います。それぞれの部位が持つ美味しさを最大限に引き出すためには、別々に火を入れるのが正解なのです。

足は冷たい塩水から茹でて「陸上げ」する

足を茹でる際、大将は沸騰したお湯ではなく、冷たい水に美味しい塩を加えた状態から茹で始めます。沸騰したお湯にいきなり活きたカニを入れると、熱さへの反応で表面が一気にガチッと硬くなってしまいます。しかし、冷たい水から徐々に温度を上げていくと、カニが温度変化に慣れていき、ゆっくりと優しく固まるため、仕上がりが驚くほどふわふわになります。沸騰してからはカニの大きさに合わせて1分から1分半ほど茹で、すぐにザルに上げる「陸上げ(おかあげ)」にします。氷水に落として急冷する手法もありますが、大将は風味や香りが抜けて味が落ちるため、絶対に氷水にはつけません。

カニ味噌は状態に合わせて茹でるか蒸すか選ぶ

カニの醍醐味である「味噌」の調理においても、カニの状態に合わせた見極めが重要です。元気なカニであれば熱を加えるときれいに固まりますが、へばって元気がないカニは、熱を入れても味噌が自分自身の力で固まりきれず、水分を吸ってダラダラと流れ出てしまいます。このような元気のないカニの場合は、お湯で茹でるよりも「蒸す」調理法を選択した方が、味噌が流れ出さずに美味しく仕上がります。このように、カニの活きの良さひとつで「茹でる」か「蒸す」かを使い分ける判断力こそが、カニ料理の奥深さであり、失敗しないための秘訣なのです。

大将に聞いてみた!

大将に聞いてみた!

登録者 2.1万人 ・ 日本料理・和食

1958年福島県生まれ。中学卒業後に日本料理の世界へ入り、日本三大料亭の一つ『金田中』や懐石料理の名店『胡蝶』などで修行を積んだ。33歳で新宿歌舞伎町に割烹をオープンし、その後も蕎麦割烹・焼肉店・すっぽん料理屋など多業態の店舗を展開。調理師専門学校の特別講師や独立開業コンサルティングにも携わり、ミシュランの星シェフを含む数百人の弟子を育てた。現在はこの道50年の経験をもとに、日本料理の知識・技術・業界事情を発信するYouTubeチャンネル『大将に聞いてみた!』を運営している。

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