天然うなぎは流通量0.1%未満|大将が語る希少さだけではない本当の魅力|うなぎ料理で大事な骨の活かし方

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Ingredients


和食料理人歴50年の大将が、天然うなぎの希少性・扱い方・調理の違いを詳しく解説します。天然うなぎは養殖と全くの別物であり、蒸し時間・熟成・産地ごとの個性など、それぞれの見極めが重要です。身だけでなく骨を丁寧に下処理して出汁を引くことで、肝吸いや骨せんべいにも活用できます。肝吸いの主役は骨から取ったスープであり、肝自体は仕上げに加えるだけという意外な事実も語られます。本動画は料理手順の実演というより、天然うなぎに関する深い知識と職人の哲学を伝える内容です。

  • 食材の選び方

    天然うなぎは産地・餌・水質によって個性が大きく異なる。熊本県天草の海うなぎはアナジャコを食べて育つため泥臭さがなく泥抜き不要。霞ヶ浦などの淡水産はミミズや小魚を食べるため泥抜きが必要。

  • 漁期・仕入れ

    天然うなぎの漁期は主に5月〜10月頃。11月を過ぎると動きが鈍くなりほぼ獲れなくなる。漁法は針掛けや胴(筒状の道具)など。

  • 下準備(熟成)

    天然うなぎは捌きたてをすぐ焼いても旨味が出ない。死後硬直を経た後、冷蔵庫で3〜4日寝かせて熟成させることで旨味成分が引き出される。養殖は捌きたてをすぐ焼くのがベスト。

  • 蒸し時間

    400g程度の養殖うなぎは15〜20分の蒸しで十分だが、同サイズの天然うなぎは身と骨を柔らかくするために最低1時間じっくり蒸す必要がある。

  • 骨の下処理(出汁用)

    捌いた骨はたわしで血を擦り洗いし、霜降り(湯通し)後に冷水で締める。その後ザルに並べて1日しっかり干して水分を完全に抜く。

  • 骨出汁の引き方

    干した骨を素焼きにし、お酒などを加えてコトコト煮出すことで、うなダレのベースや肝吸い用の旨味が凝縮された骨出汁が完成する。

  • 肝吸い

    肝吸いの主役は骨から引いたスープ。肝自体からはほとんど出汁は出ない。肝を煮込むと溶けて脂が出て飲めなくなるため、下処理した肝を椀に入れてから骨出汁を張るだけにとどめる。

  • 骨せんべい

    骨をしっかり干して水分を完全に抜くことが最重要。水分が抜けていれば低温の油で一度サッと揚げるだけでサクサクに仕上がる。何度も揚げると油を吸いギトギトになりカルシウムの栄養価も損なわれる。

5点

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  1. 01

    【天然うなぎの熟成】うなぎを捌いた後、すぐに調理せず死後硬直を経させ、冷蔵庫で3〜4日寝かせて旨味を引き出す。

  2. 02

    【骨の血抜き・霜降り】捌いた骨に残る血をたわしで擦り洗いして除く。次に湯通し(霜降り)を行い、冷水に落として血生臭さを完全に取り除く。

  3. 03

    【骨の乾燥】霜降りした骨をザルに並べ、1日かけてしっかり干して水分を完全に抜く。

  4. 04

    【骨出汁の作成】干した骨を素焼きにし、酒などを加えてコトコト煮出し、旨味が凝縮された骨出汁を引く。肝吸いのスープやうなダレのベースとして使用する。

  5. 05

    【蒸し(天然うなぎ)】熟成させたうなぎを蒸す。天然うなぎは身と骨が硬いため、最低1時間じっくりと蒸す。(養殖の場合は15〜20分が目安)

  6. 06

    【焼き仕上げ(蒲焼き)】蒸し上がったうなぎをタレをつけながら焼いて仕上げる。

  7. 07

    【肝吸いの仕上げ】肝を下処理(掃除)し、椀に入れる。骨から引いたスープを張って仕上げる。肝を煮込まないこと。

  8. 08

    【骨せんべいの作成】十分に干して水分を抜いた骨を、低温の油で一度サッと揚げてサクサクに仕上げる。何度も揚げると油っぽくなるため注意。

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※ 動画の内容をトピックごとに整理してまとめています。

流通量0.1%未満の天然うなぎと限られた漁期

国内に出回るうなぎのうち、天然うなぎはわずか0.1%未満という極めて希少な存在です。和食料理人として天然うなぎを好んで使う大将は、その魅力や扱い方について熱く語ります。天然うなぎは1年中獲れるわけではなく、真冬は活動しないため獲ることができません。主に5月から10月頃までがシーズンで、水温が上がる5月頃から一気に出回り始めます。漁法としては、川に針を仕掛ける「針掛け」や、筒状の道具を使う「胴」などがあります。11月を過ぎると動きが鈍くなり、仕掛けをしてもほとんど獲れなくなってしまいます。このように、天然うなぎは限られた時期にしか味わえない特別な食材なのです。

養殖と天然で全く異なる「蒸し時間」の秘密

大将は、養殖のうなぎと天然のうなぎは「全くの別物」であり、同じように仕込むことはできないと強調します。特に関東で一般的な「蒸し」の工程において、その違いは顕著に現れます。例えば、1本400gほどの大きめのうなぎを調理する場合、養殖のうなぎであれば15分から20分ほど蒸せば十分に柔らかくなります。しかし、同じ大きさの天然うなぎを同じ時間だけ蒸しても、身が硬くて到底食べることはできません。天然うなぎの身や骨を柔らかくし、美味しく食べられる状態にするには、最低でも1時間ほどじっくりと蒸し上げる必要があります。この仕込みの差を理解していないと、天然うなぎの良さを引き出すことはできません。

旨味を最大限に引き出す「熟成」のプロセス

捌いてからの調理のタイミングも、養殖と天然では正反対です。養殖うなぎは、捌きたての新鮮な状態をすぐに焼いて仕上げるのがベストですが、天然うなぎは捌きたてをすぐに焼いても旨味が全く感じられません。天然うなぎの場合は、捌いてから死後硬直を経た後、冷蔵庫などで3日から4日ほど寝かせる「熟成」のプロセスが不可欠です。この寝かせる期間を設けることで、うなぎ自体の旨味成分がじわじわと引き出されていきます。十分に旨味がのった状態になってから、初めて焼きや蒸しの調理へと移ります。この手間と時間をかけたアプローチこそが、天然うなぎを極上の味に仕上げるための鍵となります。

産地や餌でガラリと変わる天然うなぎの個性

天然うなぎと一口に言っても、育った環境や食べている餌によってその肉質や風味は全く異なります。大将は、滋賀県の琵琶湖、茨城県の霞ヶ浦水系、そして自身が愛用する熊本県天草の「海うなぎ」を例に挙げます。天草の海うなぎは、綺麗な海でアナジャコなどを食べて育つため、泥臭さが一切なく、調理前の「泥抜き」をする必要がありません。一方で、霞ヶ浦などの淡水域でミミズや小魚を食べて育つうなぎは、ある程度の泥抜き(アク抜き)が必要になります。このように、育った場所の餌や水質によって個性が大きく異なるため、料理人はそれぞれのうなぎの状態をしっかりと見極めて調理法を変えなければなりません。

旨味の宝庫である「骨」を活かした出汁引き

うなぎ料理において、身だけでなく「骨」は非常に重要な役割を持っています。大将は、うなぎやハモの骨からは素晴らしい出汁が出るため、絶対に捨ててはいけないと語ります。骨から極上の出汁を引くためには、丁寧な下処理が必要です。まず、捌いた骨に残っている血をたわしで綺麗に擦り洗いします。次に、さっと湯通し(霜降り)をして冷水に落とし、血生臭さを完全に取り除きます。その後、ザルなどに並べて1日しっかりと干し上げ、水分を完全に抜きます。この干した骨を素焼きにし、お酒などを加えてコトコトと煮出すことで、うなダレのベースや肝吸いに使うための、旨味が凝縮された極上の骨出汁が完成します。

肝吸いの誤解と「肝からは出汁が出ない」真実

うな重に欠かせない「肝吸い」について、大将は意外な事実を明かします。多くの人が「肝から良い出汁が出ている」と思いがちですが、実はうなぎの肝からはほとんど出汁は出ません。肝吸いの美味しさを決めるのは、事前にうなぎの骨から丁寧に引いたスープ(出汁)です。肝自体は、下処理をして綺麗に掃除したものを、最後にお椀の中にポンと入れてお汁を張るだけです。もし肝を鍋に入れてコトコトと煮込んで出汁を取ろうとすれば、肝が溶けて脂が出てしまい、とても飲めるようなものではなくなってしまいます。肝吸いの本当の主役は、骨から取ったクリアで深い味わいのスープなのです。

カルシウムを残す本物の「骨せんべい」の作り方

おつまみとして人気の「骨せんべい」ですが、大将は巷にある多くの骨せんべいに苦言を呈します。骨まで柔らかくするために何度も油で揚げた骨せんべいは、手で潰すとギトギトと油が染み出てきます。これは骨が油を吸っているだけで、カルシウムなどの栄養価はほとんど残っていません。本物の骨せんべいを作るには、まず骨をしっかりと干して水分を完全に抜くことが命です。水分が抜けた骨であれば、何度も揚げる必要はなく、低温の油でサッと一度揚げるだけで、サクサクとした軽い食感に仕上がります。これこそが、カルシウムの栄養もしっかりと残った、職人の技が光る本物の骨せんべいです。

大将に聞いてみた!

大将に聞いてみた!

登録者 2.1万人 ・ 日本料理・和食

1958年福島県生まれ。中学卒業後に日本料理の世界へ入り、日本三大料亭の一つ『金田中』や懐石料理の名店『胡蝶』などで修行を積んだ。33歳で新宿歌舞伎町に割烹をオープンし、その後も蕎麦割烹・焼肉店・すっぽん料理屋など多業態の店舗を展開。調理師専門学校の特別講師や独立開業コンサルティングにも携わり、ミシュランの星シェフを含む数百人の弟子を育てた。現在はこの道50年の経験をもとに、日本料理の知識・技術・業界事情を発信するYouTubeチャンネル『大将に聞いてみた!』を運営している。

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