Table Ogino 荻野シェフに教わる【パテ・ド・カンパーニュ(Pâté de Campagne)】②

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Ingredients


荻野シェフによるパテ・ド・カンパーニュの仕込み中編。豚もも肉・レバー・背脂のそれぞれを正確に計量・分離し、ミンサーで挽く工程を詳しく解説。塩を加えて肉を練ることで引き出される「塩可溶性タンパク質」が肉を繋ぎ、しっとりした仕上がりを生む。黄金比率は赤身2:レバー1:背脂1だが、今回はレバーを限界まで増量した濃厚仕様。温度管理と塩分濃度(約2%)の徹底が品質を左右するキーポイント。

  • 下準備

    豚もも肉は赤身と脂身をナイフで丁寧に分離し、赤身の重量を正確に計量する。均一な品質のパテを作るうえで不可欠な工程。

  • 下準備

    レバーは新鮮であればザルでドリップを軽く洗い流すだけでOK。鮮度に不安がある場合のみワインや牛乳に漬ける。

  • 下準備

    背脂が手に入らない場合は豚バラ肉で代用可能。もも肉の掃除で出た脂身はそのまま背脂分としてカウントできる。

  • 配合比率

    失敗しない黄金比率は赤身肉2:レバー1:背脂1(2:1:1)。今回はレバーを大幅に増量した高レバー仕様(赤身1.3kgに対しレバー1.1kg)。

  • 下準備(温度管理)

    肉・背脂は半冷凍のキンキンに冷えた状態でミンサーにかける。摩擦熱で背脂が溶けるとラード状になり肉が繋がらなくなる。

  • 調理器具

    ミンサーのプレートは6mm穴が最適。3mmでは筋が詰まり、9mmでは粗すぎて肉が繋がらない。

  • 味付け

    塩分濃度は全体量に対して約2%が目安。冷やして食べるパテは温かい料理より塩気を感じにくいため、しっかりとした塩分が必要。

  • 捏ね作業

    挽いた肉に塩・レダクション・卵・赤ワインを加え、ミキサー中速で4〜5分間しっかり練る。塩可溶性タンパク質が出るまで練ることでしっとりした食感が生まれる。

  • 塩の役割

    塩を加えることで肉から「塩可溶性タンパク質」が引き出され、肉同士を繋ぐつなぎとして機能する。前日に塩漬けするとより効果的だが、当日でも練り込むことで対応可能。

19点

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  1. 01

    豚もも肉をナイフで赤身と脂身に丁寧に切り分け、赤身の重量を正確に計量する。赤身はミンサーに入りやすい細長い形に切り揃える。

  2. 02

    背脂(またはもも肉の掃除で出た脂身)、豚レバーもそれぞれ5cm角程度にカットする。レバーは新鮮であればドリップをザルで軽く洗い流すだけでよい。

  3. 03

    赤身肉・レバー・背脂はすべて半冷凍になるまでしっかり冷やしておく。

  4. 04

    レダクションを作る:玉ネギ・ニンニク・マッシュルーム・パセリ・赤ワイン・牛乳を合わせて煮詰め、使用前に完全に冷ます。

  5. 05

    冷えた赤身肉に塩を加えてなじませる(前日に塩漬けするとより効果的)。

  6. 06

    半冷凍状態の赤身肉・レバー・背脂を順にミンサー(6mmプレート使用)で挽く。摩擦熱で背脂が溶けないよう手早く作業する。

  7. 07

    挽いた肉をミキサーボウルに入れ、塩・冷ましたレダクション・卵(肉1kgに対して1個)・マデラ酒・コニャック・赤ワイン・キャトルエピスを加える。

  8. 08

    ミキサー中速で約4〜5分間、塩可溶性タンパク質による粘り気が出るまでしっかり練り上げる。

  9. 09

    練り上がったファルス(肉種)を網脂を敷いたテリーヌ型に詰め、ローリエ・タイム・黒コショウを添えて焼成工程へ進む(焼成は別回参照)。

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※ 動画の内容をトピックごとに整理してまとめています。

豚もも肉の下処理と赤身・脂身の丁寧な分離

荻野シェフによるパテ・ド・カンパーニュ作り、今回は「肉の下処理」からスタートします。シェフが用意したのは、スーパーで購入したという立派な豚もも肉。まずはこのもも肉の赤身と脂身をナイフできれいに切り分けていきます。一見すると、最初から混ざっている切り落とし肉などを使っても良さそうに思えますが、シェフには強いこだわりがあります。それは「赤身肉の重量を正確に計量したい」という理由です。もも肉は赤身と脂身の境界がはっきりしているため、掃除をしながらきれいに分割するのに最適な部位なのです。この赤身と脂身をきっちりと分けるひと手間が、仕上がりのクオリティを大きく左右する最初のポイントとなります。

プロが「もも肉」を選ぶ理由と均一な品質へのこだわり

アシスタントから「赤身と脂身を一緒にミンチにしてはダメなのか」という疑問が飛び出します。これに対し、シェフは「バラ肉のように赤身と脂身が入り組んでいる部位だと、それぞれの正確な割合が出せない」と解説します。家庭で少量作る分には大きな問題になりませんが、プロの現場やテイクアウト用として一度に20キロ、30キロと大量に仕込む場合、肉のブレが最終的な製品のクオリティに直結してしまいます。常に均一で美味しいパテを提供するためには、赤身と脂身を完全に分けて正確に計量することが不可欠なのです。カットした赤身肉は、ミンサー(肉挽き機)に入りやすい細長さに切り揃えていきます。

肉を繋ぐ科学「塩可溶性タンパク質」の仕組み

切り分けた赤身肉に塩を加えることで、肉の内部から「塩可溶性(えんようせい)タンパク質」という成分が引き出されます。これは、肉同士をしっかりと結びつける「つなぎ」の役割を果たす非常に重要な要素です。シェフ曰く、理想を言えば前日から塩漬けにしておくことでこのタンパク質がより引き出されやすくなりますが、忙しいプロの現場ではそこまで手が回らないことも多いため、当日に塩を混ぜてしっかり練り込むだけでも十分に対応可能とのこと。科学的なアプローチを理解しつつも、現場の現実的なオペレーションに寄り添った柔軟な姿勢が、荻野シェフらしい合理的な料理論を感じさせます。

鶏レバーの下処理は「何もしない」が正解?

続いては鶏レバーの下処理です。一般的には、血抜きをしたり、筋や血管を丁寧に取り除いて牛乳に浸すといった、手間のかかる下処理が推奨されがちです。しかし、荻野シェフは「そんな面倒くさいことやってられないでしょう」と笑い飛ばします。シェフの結論は、なんと「何もしなくてOK、そのままミンサーに投入する」という驚きのスタイル。ただし、これには「新鮮で臭みのないレバーであること」という絶対的な前提条件があります。もし少し鮮度に不安がある場合は、ワインや牛乳に漬けるのが有効ですが、新鮮なものであればザルでドリップを軽く洗い流すだけで十分。現場の負担を減らすためのプロの知恵です。

背脂の役割と手に入らない場合の「豚バラ」代用案

パテにコクとジューシーさを加える「背脂」について解説します。先ほど豚もも肉を掃除した際に出た脂身は、そのまま背脂の分量としてカウントして使用します。背脂は一般的なスーパーでは手に入りにくいため、プロ向けの食材と言えます。もし家庭で作る際に背脂が手に入らない場合は、「豚バラ肉」で代用するのがおすすめだそうです。豚バラ肉には豊富な脂身が含まれているため、レシピの背脂の代わりに豚バラ肉を配合することで、程よい脂分を補うことができます。バラ肉を使うことで多少赤身が増えることになりますが、仕上がりには全く問題ありません。

失敗しない黄金比率「2:1:1」と今回の限界レシピ

アシスタントから「赤身、脂身、レバーの理想的な配合比率は?」という質問が上がります。シェフは自身の著書『シャルキュトリー教本』を取り出し、お茶目に確認しながら解説します。本に書かれている「絶対に失敗しない黄金比率」は、赤身肉2:レバー1:背脂1(2:1:1)です。この比率を守れば、どんな肉を使ってもまとまりのある美味しいパテが作れます。しかし、今回作るレシピは「レバーを限界まで高めた特別仕様」。なんと赤身肉1.3キロに対してレバーを1.1キロも配合するという、ほぼ1対1に近い驚異的なハイレバー仕様です。濃厚なコクと滑らかな食感を極限まで追求した、シェフ渾身のプロレシピとなっています。

ミンサーの穴は「6ミリ」がベスト!徹底した温度管理

いよいよ肉を挽く工程に入ります。家庭用のスタンドミキサーにミンサーのアタッチメントを取り付け、肉を挽いていきます。ここで重要なのが、ミンサーのプレートの穴のサイズ。シェフの推奨は「6ミリ」です。3ミリだと細かすぎて肉の筋が引っかかって出てこなくなり、9ミリだと粗すぎて肉が繋がらなくなってしまいます。そして、最も重要なポイントが「温度管理」です。使用する肉や背脂は、半冷凍のキンキンに冷えた状態で挽く必要があります。背脂が摩擦熱などで溶けてラード状になってしまうと、肉が絶対に繋がらなくなってしまい、パサパサの仕上がりになってしまうからです。

パテの命運を分ける「塩分濃度」と徹底的な捏ね作業

挽いた肉に、塩、冷ましておいたレダクション(香味野菜の煮詰め液)、卵(肉1kgに対して1個)、赤ワインを加えます。ここでシェフが強調するのが「塩分濃度」です。今回は全体で約3キロの肉に対して60gもの塩(約2%)を投入します。冷たくして食べるテリーヌやパテは、温かいソーセージよりも塩気を感じにくいため、2%前後のしっかりとした塩分濃度が必要不可欠です。すべての材料を合わせたら、ミキサーの中速で約4〜5分間、徹底的に捏ねていきます。肉の繊維が壊れて粘り気(塩可溶性タンパク質)が出るまでしっかりと練り上げることで、冷やし固めたときにパサつかず、しっとりとした極上の食感が生まれます。

荻野フレンチアカデミー

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