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何のために魚を熟成させるのか?|大将が見極める“一番おいしい時”|熟成の前に大切な魚の下処理
「魚の熟成と下処理の実践ガイド」とは
魚の熟成は単に長く寝かせるのではなく、魚が死後硬直後にタンパク質が分解され旨味成分に変わる過程を見極めることが重要です。天然魚と養殖魚では熟成へのアプローチが異なり、養殖魚は熟成に向かないため調理法を変える必要があります。活魚と熟成魚は別物の美味しさを持ち、水洗いなどの下処理が熟成の原点となります。
「魚の熟成と下処理の実践ガイド」を美味しく作るコツ
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熟成の考え方
- 熟成とは、死後硬直後にタンパク質が分解されて旨味成分に変わっていく過程
- 1日目、2日目、3日目と進み、魚自身が持つエネルギーや力が最大になった「その時」を見極めることが大切
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仕入れのタイミング
- お客様が食べる瞬間に最も美味しくなるよう逆算して、築地などで天然魚を仕入れる
- 長期熟成(1ヶ月など)よりも、個々の魚の状態を見ながら最適なタイミングを狙う
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天然魚と養殖魚の違い
- 天然魚は日が経つにつれ旨味成分が増加するが、養殖魚は力が弱く身が緩み水分が大量に出る
- 養殖魚は熟成に向かず、塩をする、脱水する、フライやソテー、昆布締めにするなど別の調理手段をとる必要がある
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うなぎの保存方法
- うなぎを熟成させる際は、丸めずに真っ平らに伸ばした状態で保存
- 冷蔵庫の冷気や温度を均一に保つため、ストレスを与えない保存方法が極めて重要
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水分管理
- 身から出る体液の処理が仕上がりを左右
- ミートペーパーは一般的なキッチンペーパーと異なり、水分の逆戻りがなく、1日に2回ほどこまめに替えることで理想的な熟成状態を維持
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天然と養殖のサバの味噌煮
- 養殖サバは煮る前に必ず白焼きして組織を固め、旨味や脂が逃げるのを防ぐ必要がある
- 天然サバは身がしっかりしているため白焼き不要で、そのままコトコト煮込んでも痩せない
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活魚と熟成魚の違い
- 活魚は旨味成分は出ていないが新鮮な香りやコリコリとした食感が特徴
- 熟成魚は旨味が豊かだが別物の美味しさ
- イカの切り方も活きているときは縦切り、熟成後は横切りと異なる
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下処理の重要性
- 熟成において最も大切なのが水洗いなどの下処理
- 血や内臓などの汚れを完全に除去しないと、数日寝かせている間に血生臭さが身に回り、嫌な臭いや腐敗の原因になる
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処理時の注意
- 金目鯛などの魚を処理する際、カマ下からズバッと落とさず、切り口に汚れがつかないよう細心の注意を払って綺麗に洗うことが、美味しい熟成魚を作るための絶対条件
「魚の熟成と下処理の実践ガイド」の詳しい解説
※ 動画の内容をトピックごとに整理してまとめています。
大将が考える「熟成」の基本とタイミングの見極め
大将の考える 熟成 とは、単に時間をかければ良いというものではありません。魚が 死後硬直 した後に、タンパク質が分解されて旨味成分に変わっていく過程(1日目、2日目、3日目)をプロの目で見極めることが基本です。例えば、お客様から2日後や3日後に予約が入った場合、そのお客様が白身魚が好きであれば、逆算して 築地 で ヒラメ などの天然魚を仕入れます。そして、お客様が召し上がる瞬間に最も美味しくなるタイミングを狙って提供するのです。近年は1ヶ月といった長期熟成も流行っていますが、大将は魚自身が持つエネルギーや力が最大になり、一番美味しくなった「その時」を逃さずに提供することにこだわっています。
天然魚と養殖魚の違い:鯛を例にしたアプローチの変化
天然魚と養殖魚では、熟成に対するアプローチが全く異なります。白身の 鯛 を例に挙げると、活きている時のプリプリ・コリコリとした歯ごたえはどちらも美味しいですが、死後硬直した後の変化に大きな差が出ます。天然の鯛は2日目、3日目と日が経つにつれて旨味成分が増していきますが、養殖の鯛は魚自体の力がそこまで強くないため、日が経つと身が緩くなり、水分が大量に出てきてしまいます。そのため、養殖魚を熟成させて美味しくしようと時間を置くのは逆効果です。養殖魚を調理する場合は、水分が出る前に 塩 をする、脱水 する、あるいは フライ や ソテー、昆布締め にするなど、すぐに次の美味しさを引き出す調理手段をとる必要があります。
天然うなぎを熟成させる際の注意点と保存方法
天然の うなぎ を熟成させる際には、食材にストレスを与えない保存方法が極めて重要です。うなぎを保存する際、丸めて(なるとのように巻いて)冷蔵庫の片隅に入れがちですが、大将は長いまま、真っ平らにしておくべきだと語ります。丸めて重ねてしまうと、冷蔵庫の冷気や温度の伝わり方にばらつきが生じ、中心部が冷えにくくなるなど状態に差が出てしまいます。お客様にどの部分を提供しても同じように美味しい状態であるためには、全体を均一な温度で管理する必要があります。そのため、食材に余計なストレスをかけないよう、真っ平らに伸ばした状態で保存するのがプロの鉄則です。
熟成をコントロールする「ミートペーパー」のこだわり
魚を熟成させる過程では、身から出る体液(水分)の処理が仕上がりを左右します。大将はここ2〜3年、お肉屋さんで使われている ミートペーパー を愛用しています。一般的なキッチンペーパーだと、一度吸い取った水分が再び食材に戻ってしまうことがありますが、ミートペーパーは水分の逆戻り(跳ね返り)がなく、非常に良い状態を保てます。以前は 浸透膜シート も使用していましたが、水分を過剰に吸いすぎて身がブヨブヨになってしまい、熟成のコントロールが難しくなるため使用をやめました。現在は、扱いやすく安価なミートペーパーを1日に2回ほどこまめに替えることで、理想的な熟成状態を維持しています。
サバの味噌煮で見る天然と養殖の調理法の違い
サバを骨まで柔らかく煮る サバの味噌煮 を作る際、天然と養殖では調理法をガラリと変えなければなりません。養殖の サバ を使う場合は、煮る前に必ず一回 白焼き(素焼き)にする必要があります。白焼きをせずに生のまま天然魚と同じように煮てしまうと、養殖魚は身が思いっきり痩せてちんちくりんになってしまいます。一度焼くことで組織を固め、旨味や脂が逃げ出すのを防ぐのです。一方、天然のサバは身がしっかりしているため、焼く必要はなく、そのままコトコトと煮込んでも痩せることなくふっらくと仕上がります。また、養殖の脂は味噌に馴染みにくいですが、天然の脂は味噌と見事に調和するという違いもあります。
活魚と熟成魚:それぞれの美味しさとイカの切り方の秘密
和食における 活魚(死後硬直前の活きている状態)と 熟成魚 は、全く別物の美味しさです。活魚は旨味成分こそまだ出ていませんが、新鮮な香りやコリコリとした食感を目や歯ごたえで楽しむ、日本独特の素晴らしい文化です。この違いは イカ の切り方にも現れます。獲れたての活きているイカ(北海道の イカそうめん など)は、イカが泳ぐ方向に沿って 縦に切る ことで、心地よい歯ごたえを活かします。逆に、死後硬直して旨味が出たイカは、甘みを引き出すために 横に切る のです。活きているイカを横に切ると、身が丸まってしまって箸で掴めなくなるなど、切り方一つで料理の成否が分かれます。
熟成の原点:最も重要とされる「水洗い」の下処理
大将が「熟成において最も大切だ」と強調するのが、原点である 水洗い(下処理)です。魚を何日も寝かせるからこそ、血や内臓などの汚れを完全に除去しなければなりません。例えば、はらわた(内臓)が入ったまま頭を落としてしまうと、その切り口に血や内臓の臭みが付着します。水洗いしている最中は臭わなくても、3日、4日と寝かせている間にその血生臭さが身に回り、嫌な臭いや腐敗の原因になってしまいます。金目鯛 などの魚を処理する際も、カマ下からズバッと落とさず、切り口に汚れがつかないよう細心の注意を払って綺麗に洗うことが、美味しい熟成魚を作るための絶対条件です。
大将に聞いてみた!について
大将に聞いてみた!
登録者 2.1万人 ・ 日本料理・和食
1958年福島県生まれ。中学卒業後に日本料理の世界へ入り、日本三大料亭の一つ『金田中』や懐石料理の名店『胡蝶』などで修行を積んだ。33歳で新宿歌舞伎町に割烹をオープンし、その後も蕎麦割烹・焼肉店・すっぽん料理屋など多業態の店舗を展開。調理師専門学校の特別講師や独立開業コンサルティングにも携わり、ミシュランの星シェフを含む数百人の弟子を育てた。現在はこの道50年の経験をもとに、日本料理の知識・技術・業界事情を発信するYouTubeチャンネル『大将に聞いてみた!』を運営している。
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