その赤貝の水洗い、台無しです|香り・食感・ワタの扱いまで大将が解説

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和食料理人歴50年の大将が、赤貝を美味しく仕込むためのプロの技を解説する動画です。一般的に行われている「開いてから塩揉み」は赤貝の鮮度や風味を損なうとして、大将は「丸い状態のまま外側だけを塩で擦る」方法を推奨しています。鮮度の見極め方や専用道具を使った殻の割り方、紐の処理、ワタの活用法まで幅広く紹介されています。また、春先の新鮮なワタは苦味がなく甘みがあり、捨てずに料理に活用できるとのことです。最後には赤貝の殻が歌舞伎の効果音に使われているというトリビアも語られています。

  • 目利き・鮮度確認

    赤貝を手に取って振り、中でポコポコと音がしないもの(身がギュッと締まって重いもの)を選ぶ。元気な赤貝は振るうちに音がしなくなる。

  • 下準備

    殻を割る前に必ずたわしを使って流水で殻の表面をピカピカになるまで擦り洗いする。汚れや雑菌が体液に混ざるのを防ぐためで、基本中の基本。

  • 殻の割り方

    赤貝専用の道具(片方が丸くなっている器具)を使い、殻の根元(口が開く部分)に縦に差し込んで時計回りに回すことで、身や紐を傷つけずに綺麗に殻を外せる。叩き割ると身に傷がつき傷みが早くなる。

  • 紐の処理

    余分に包丁を入れず、手早く紐を取る。紐はコリコリした食感が命のため、処理を素早く終わらせ、一刻も早く冷蔵庫で冷やすことが食感を保つポイント。

  • ぬめり取り(最重要)

    開いてから塩揉みするのはNG。赤貝を割って開く前の「丸い玉のままの状態」で、1個ずつ外側だけを塩で擦ってぬめりを取る。開いてから塩を揉み込むと内側の身にまで塩が入り込み、赤貝がすぐに弱ってしまう。

  • 塩の種類

    ぬめり取りには精製塩ではなく天然塩を使う。精製塩は貝を傷めやすく(ハマグリの砂抜きを精製塩でやると翌日に死ぬ例あり)、天然塩なら鮮度が長持ちする。

  • ワタの扱い

    特に春先(赤貝が子どもを持つ前の寒い時期)のワタは苦味がなく甘みがあり捨てない。開いてワタを取り出した後、ボイルして水にさらさずザルに上げて冷ます(陸上げ)ことで旨味を逃さない。わさび醤油でお刺身に添えたり、ひもきゅう巻きに入れたりして使う。

  • ワタの見極め

    赤貝が子どもを持って身が弱っている時期のワタは使わない。時期による品質の見極めがプロの腕の見せ所。

2点

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  1. 01

    赤貝を手に取って振り、中でポコポコと音がしない(身が締まって重い)ものを選んで鮮度を確認する。

  2. 02

    殻を割る前に、たわしを使って流水で殻の表面をピカピカになるまで丁寧に擦り洗いする。

  3. 03

    赤貝を「丸い玉のままの状態」で、天然塩を使って1個ずつ外側のぬめりを擦り取る(この時点ではまだ開かない)。

  4. 04

    専用道具を殻の根元(口が開く部分)に縦に差し込み、時計回りに回してパカッと殻を外す。赤い体液はボウル等で受け止める。

  5. 05

    殻に沿って優しく身を剥がし、紐や身を傷つけないよう注意しながら取り出す。

  6. 06

    紐を手早く取り除く(余分に包丁を入れず、できるだけ素早く処理する)。処理が終わったらすぐに冷蔵庫に入れて冷やす。

  7. 07

    (ワタを使う場合)春先など旨味のある時期のワタは取り出してボイルし、水にさらさずザルに上げて冷ます(陸上げ)。わさび醤油やひもきゅう巻きに活用する。

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※ 動画の内容をトピックごとに整理してまとめています。

赤貝の仕込みに対する大将のこだわり

和食料理人歴50年の大将が、寿司ネタとしておなじみの「赤貝」の仕込みについて解説します。一般的には赤貝を開いた後に塩揉みをしてぬめりを取ることが多いですが、大将は「そのやり方は赤貝の良さを台無しにしている」と指摘します。切って開いた切り口に塩を揉み込むと、塩分が中に入り込んでしまい、鮮度や香り、風味が落ちてしまうからです。大将のやり方は一般的な板前さんの仕込みとは大きく異なり、お客様に提供するギリギリのタイミングで、最も香りが良く新鮮な状態の赤貝を出すための理にかなった水洗い方法を実践しています。今回は、良い赤貝の見極め方から、ぬめりの取り方、さらには通常は捨てられがちなワタ(肝)の扱い方に至るまで、赤貝の魅力を最大限に引き出すプロの技を徹底的に追求していきます。

赤貝の鮮度を見極める目利きと下準備

赤貝を仕込む最初のステップは、鮮度の目利きと丁寧な下準備です。大将は赤貝を手に取って振る動作をしますが、これは殻の中で赤貝の丸い身(赤玉)が動いて殻に当たっていないかを確かめるためです。弱っている赤貝は、振ると中でポコポコと音がして殻に当たってしまいますが、元気な赤貝は振るうちにギュッと身が締まって音がしなくなります。この「音がしない重たいもの」を選ぶのが目利きのコツです。そして、殻を割る前に必ずたわしを使って流水で綺麗に擦り洗いをします。赤貝を割った際に出る赤い体液(汁)は、身がくたばらないように受け止めるために使いますが、殻の周りには何が付着しているか分からないため、汚れや雑菌が体液に混ざるのを防ぐために、殻を事前にピカピカに洗っておくことが基本中の基本となります。

専用道具で殻に沿って綺麗に割るコツ

赤貝を割る工程では、大将は昔から使われている赤貝専用の道具を使用します。赤貝の殻を叩き割る方法もありますが、それでは中の紐などを傷つけてしまうリスクが高まります。傷がつくと、冷蔵庫に保管している間に身が傷みやすくなり、くたばるのが早くなってしまいます。専用の道具は片方が丸くなっており、赤貝の口が開く根元の部分に縦に差し込み、時計回りにくるりと回すだけで、パカッと綺麗に殻を外すことができます。殻に沿って優しく身を剥がすことで、中の紐や身を一切傷つけることなく、綺麗な状態のまま取り出すことが可能です。道具売り場でも手に入るこの専用器具を使うことで、食材への負担を最小限に抑え、鮮度を長く保つことができるという大将の強いこだわりが光る工程です。

手早く綺麗に仕上げる赤貝の紐の処理

殻から取り出した後は、赤貝の「紐」を取る作業に移ります。大将は一般的な板前さんが行う方法とは異なる、独自の紐の取り方を披露します。この方法の最大のメリットは、掃除の手間が少なく、余分な包丁を何度も入れずに済むため、非常にスピーディーに作業を終えられる点にあります。紐はコリコリとした食感が命であり、手仕事を早く終わらせて一刻も早く冷蔵庫に入れて冷やすことが、その素晴らしい食感を保つために不可欠です。また、赤貝の紐は平らなイメージを持たれがちですが、実際には柱から出ている部分は丸みを帯びた筒状のような形をしています。このぷりぷりとした本来のボリューム感と食感を損なわずに、お客様の口へ運してもらるために、大将は少しでも早い時間で処理を完了させる工夫を凝らしています。

丸い状態で塩揉みするぬめり取りの極意

ここが今回の最も重要なポイントです。一般的には、赤貝を開いてから塩をかけてザルなどでぐるぐると揉んでぬめりを取りますが、大将はこれに「大反対」です。開いた身に塩を揉み込むと、ぬめりのない内側の身にまで塩が馴染んでしまい、赤貝がすぐに弱ってしまいます。大将のやり方は、赤貝を割って開く前の「丸い玉のままの状態」で、外側だけを1個ずつ塩で擦る方法です。丸い状態であれば、凹凸がなく綺麗に外側のぬめりだけを取り除くことができ、赤貝に余計な負担をかけずに済みます。さらに、使用する塩にもこだわりがあり、精製塩ではなく天然の塩を使うことが大切です。ハマグリの砂抜きを精製塩で行うと翌日には死んでしまうのに対し、天然塩なら数日生き続けることからも、塩の質が貝の鮮度維持にどれほど影響するかが分かります。

季節限定の美味!赤貝のワタの扱い方

お寿司屋さんの仕込み動画などでは、赤貝のワタ(肝)は捨てられてしまうことが多いですが、大将は「捨てるものではない」と断言します。特に春先、赤貝が子どもを持つ前の寒い時期の肝は、身がパンパンに張っていて非常に美味しいそうです。この時期の新鮮な肝は、お刺身に添えてわさび醤油で食べたり、ひもきゅう巻きの中に入れたりしても、苦味が一切なく甘くて絶品です。仕込みの際は、開いてワタを取った後、ボイルして「陸上げ(水にさらさずザルに上げて冷ますこと)」にすることで、旨味を逃さずに美味しく仕上げることができます。ただし、赤貝が子どもを持って身が弱っている時期のワタは使わない方が良いため、その見極めはプロの料理人としての腕の見せ所です。安全で美味しい時期のワタは、立派な一品料理になります。

赤貝の殻が奏でる歌舞伎の効果音トリビア

最後に、大将が超一流料亭「金田中」にいた頃の面白いエピソードを語ってくれました。新橋演舞場の歌舞伎に深く関わっていた金田中の大旦那から、「赤貝の大きい殻が出たら捨てずに取っておいてくれ」と頼まれたそうです。実は、きれいに洗って乾燥させた赤貝の殻同士を擦り合わせると、まるで本物のカエルが「ゲロゲロ」と鳴いているような、非常にリアルな音を出すことができます。歌舞伎の舞台裏では、波の音を小豆で表現するように、カエルの鳴き声の効果音としてこの赤貝の殻が今でも使われているのです。大将は動画内で実際に殻を擦り合わせて音を再現し、さらに「カエルのオスは『オダノブダラ(織田信長)』、メスは『バカバカシイ』と鳴くんだよ」という昔ながらの小粋なジョークを交え、場を和ませてくれました。

大将に聞いてみた!

大将に聞いてみた!

登録者 2.1万人 ・ 日本料理・和食

1958年福島県生まれ。中学卒業後に日本料理の世界へ入り、日本三大料亭の一つ『金田中』や懐石料理の名店『胡蝶』などで修行を積んだ。33歳で新宿歌舞伎町に割烹をオープンし、その後も蕎麦割烹・焼肉店・すっぽん料理屋など多業態の店舗を展開。調理師専門学校の特別講師や独立開業コンサルティングにも携わり、ミシュランの星シェフを含む数百人の弟子を育てた。現在はこの道50年の経験をもとに、日本料理の知識・技術・業界事情を発信するYouTubeチャンネル『大将に聞いてみた!』を運営している。

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