大将が一番うまいと思うカニ|活きたワタリガニの食べ尽くし方

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Ingredients


和食料理人歴50年の大将が、活きたメスのワタリガニを使い、下処理から蒸し上げ、内子の塩辛作りまでを実演解説した動画です。ワタリガニは浅瀬の砂地に生息するため徹底的な洗浄が必要で、茹でずに蒸すことで栗のようなホクホク食感に仕上がります。蒸し器を2段重ねにしない、蓋を少しずらして蒸すなど、プロならではのこだわりが随所に語られています。仕上げには甲羅の内子(卵)を天然塩で丁寧に脱水し、まろやかで濃厚な塩辛に仕上げます。

  • 食材選び

    旬のメスのワタリガニ(3月下旬〜5月下旬)は甲羅に内子をたっぷり蓄えており、特に絶品。秋口はオスが美味しくなる。

  • 下処理

    ワタリガニは砂地に生息するため砂を非常に多く含む。たわしで甲羅・足・ふんどし周辺を流水下で徹底的に擦り洗いする。

  • 下処理

    活きた新鮮なカニは身が締まっているため、洗浄時に水が身の中に入り込む心配はない。

  • アク抜き

    内子と味噌をザルに入れ、水道水のシャワーで優しく水を替えながらさらす。必ず下に氷水を当てて冷やしながら行う。水が完全に澄むまで3〜4回繰り返す。

  • アク抜き

    活きた新鮮な内子は真水で洗っても溶け出さない。アク抜きを怠ると塩辛の色が濁る原因になる。

  • 味付け(下塩)

    足を外した切り口(リング状部分)や半分に割ったウスの断面など、肉が見えている部分に直接塩を振って下味をつける。

  • 蒸し方

    ワタリガニは茹でずに必ず蒸す。茹でると肉質が硬く締まりすぎるため、蒸すことでふんわりホクホクに仕上がる。

  • 蒸し方

    蒸し器の蓋を少しずらして「息を抜きながら」蒸す。強い圧力をかけず蒸気を逃がすことで、身が柔らかく仕上がる。

  • 蒸し方

    蒸し器は絶対に2段重ねにしない。上段から落ちるアクや臭みを含んだ水分が下段のカニにかかってしまうため、必ず1段のみで蒸す。

  • 捌き方

    ワタリガニのウス(内側の殻)は非常に薄く繊細なため、包丁を使わず手割りで捌く。足と足の間を持って力を入れるとパコンと割れる。

  • 捌き方

    水かきの根元にある筋肉質の身が最も動かす部位で一番美味しい。手割りにすることでこの部位を余さず楽しめる。

  • 塩辛の仕込み

    塩辛には精製塩を使わず、必ずミネラル豊富な天然塩を使用する。精製塩は化学反応で味が尖る原因になる。

  • 塩辛の仕込み

    塩を一度に大量に加えず、塩を振って混ぜて冷蔵庫で寝かせ水分を出す工程を4〜5回に分けて行う。全工程で約5時間かかる。

  • 保存・仕上がり

    完成した内子の塩辛は無添加で冷蔵庫で4〜5日保存可能。作った当日より翌日の方が味が馴染んで美味しくなる。

3点

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  1. 01

    【下処理①:洗浄】活きたワタリガニをたわしで持ち、流水の下で甲羅・足の隙間を丁寧に擦り洗いする。

  2. 02

    【下処理②:ふんどしの除去】お腹のふんどしをパカッと割り取り外す。ふんどしを取った部分もたわしで擦り洗いする。

  3. 03

    【内子・味噌の取り出し】甲羅を外し、内側の内子(卵)とカニ味噌を取り出してザルに入れる。

  4. 04

    【内子のアク抜き】ザルに入れた内子・味噌を水道水のシャワーで優しくさらす。下に氷水を当てて冷やしながら、水が完全に澄むまで3〜4回水を替えてアクを徹底的に抜く。

  5. 05

    【下塩】足を外した切り口(リング状部分)や、半分に割ったウスの断面など、肉が露出している部分に天然塩を直接振って下味をつける。

  6. 06

    【蒸し(1段のみ)】蒸し器を準備し、カニを1段のみに並べる(絶対に2段重ねにしない)。蓋を少しずらして蒸気を逃がしながら蒸す(圧力をかけない)。

  7. 07

    【蒸し上がり確認】蒸し上がったら蒸し器の底にアクが落ちているのを確認する。身が栗のようにホクホクになっていれば完成。

  8. 08

    【手割り】蒸し上がったカニを包丁は使わず手で捌く。足と足の間を持って力を入れ、パコンと割る。水かき根元の筋肉質の身も手で丁寧に外す。

  9. 09

    【塩辛の仕込み①:初回加塩】アク抜きしてザルに上げた内子に天然塩を振り、指先で優しく全体に混ぜ合わせる。

  10. 10

    【塩辛の仕込み②:繰り返し脱水】塩を混ぜた内子を冷蔵庫に入れて寝かせ、出てきた水分を除く。この「塩を振って混ぜて冷蔵庫で寝かせる」工程を4〜5回繰り返す(全工程で約5時間)。

  11. 11

    【仕上げ・保存】水分がしっかり抜けてまろやかな旨味が凝縮されたら完成。冷蔵庫で保存し、翌日以降が最も美味しい(冷蔵で4〜5日保存可能)。

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※ 動画の内容をトピックごとに整理してまとめています。

大将が一番美味いと断言するワタリガニの魅力

世間では11月のズワイガニ解禁が大々的にニュースになり盛り上がりますが、和食料理人歴50年の大将が「カニの中で一番美味い」と断言するのがワタリガニです。ズワイガニに比べてランクが下に見られがちですが、その味わいは格別です。ワタリガニはカニの中でも特に浅瀬に生息しており、カエルのような大きな水かきを使って海を泳ぎ回るという珍しい特徴を持っています。そのため非常にパワフルで、大きな爪で強い獲物を食べて育つため、肉質が良く旨味が強いのです。ワタリガニには明確な旬があり、オスとメスで時期が異なります。今回調理するメスは3月下旬から5月下旬にかけてが旬で、甲羅の中に「内子」と呼ばれる卵をたっぷりと蓄えます。この時期のメスはとにかく絶品です。一方、秋口になると今度はオスが身がギュッと詰まって非常に美味しくなります。

綺麗なオレンジ色に仕上げる内子のアク抜き

ワタリガニの甲羅を外すと、内側にはたっぷりの内子(卵)と、グレーがかったカニ味噌が入っています。これらを使って極上の塩辛を作っていきますが、仕上がりを美しいオレンジ色にするためには、徹底的なアク抜きが欠かせません。まず、甲羅から取り出した内子と味噌をザルに入れ、水道水のシャワーを使って優しく何度も水を替えながらさらします。水道水は季節によって温度が変わるため、必ず下に氷水をあてて冷やしながら作業を行うのがポイントです。この氷水が完全に綺麗に澄むまで、3〜4回しっかりと水を替えてアクを抜き切ります。この工程を怠ると、塩辛にした際に濁りが出てしまい、美しい色合いに仕上がりません。水にさらすと卵が溶け出してしまいそうに見えますが、活きたカニの新鮮な卵はしっかりとまとまっているので、真水で洗っても問題ありません。

砂を噛みやすいワタリガニの徹底的な下処理

ワタリガニは浅瀬の砂地に生息しているため、他のカニに比べて非常に多くの砂を噛んでいます。そのため、調理前の徹底的な洗浄が極めて重要になります。まず、足を外す前にたわしを使って、流水の下で甲羅や足の隙間を綺麗に擦り洗いします。次に、お腹にある「ふんどし」と呼ばれる部分をパカッと割り、取り外します。ふんどしを取った部分にも砂や汚れが溜まりやすいため、ここもたわしで綺麗に擦り上げます。この時に「身の中に水が入ってしまうのではないか」と心配になりますが、活きた新鮮なカニは身が締まっているため、水が中に入り込むことはありません。綺麗に洗い流したら、足を外した切り口(リング状になっている部分)や、半分に割ったウスの断面など、肉が見えている部分に直接塩を振って下味をつけていきます。

圧をかけずにふんわりと仕上げる蒸し技術

活きたワタリガニを調理する際、大将はボイル(茹でる)ではなく、必ず「蒸す」という方法を選択します。ワタリガニは活発に泳ぎ回るため肉質が非常に強く、筋肉質です。これを普通に茹でてしまうと、身が硬く締まりすぎてしまいます。そこで、蒸し器を使って優しく加熱していきます。蒸す時の最大のコツは、蒸し器の蓋を少しずらして「息を抜きながら」蒸すことです。蒸し器の中に強い圧力をかけず、蒸気を逃がしながらふんわりと熱を通すことで、強靭な肉質が優しくほぐれ、栗のようにホクホクとした極上の食感に仕上がります。また、事前に施した塩の塩味が身の奥までしっかりと浸透し、カニ本来の旨味を最大限に引き出すことができます。この絶妙な火加減と蒸し加減こそが、数十年かけて大将がたどり着いたプロの技術です。

プロが絶対にやらない「重ね蒸し」のタブー

家庭や一部の店舗でよく見られる、蒸し器を2段にして一度にたくさんのカニを蒸す方法は、大将に言わせれば「絶対にやってはいけないタブー」です。カニを蒸している間、アクや余分な水分、そして独特のぬめりを含んだ泡がどうしても発生します。もし2段にして重ねて蒸してしまうと、上の段から滴り落ちたアクや嫌な臭いを含んだ水分が、下の段のカニにすべてかかってしまいます。これでは、せっかく丁寧に下処理をしてアク抜きをしたカニが台無しになってしまいます。大将が蒸す際は、必ず1段のみで、下に何も重ねない状態で蒸し上げます。蒸し終わった後の蒸し器の底(パンチングの穴の下)を見ると、濁ったアクがしっかりと落ちているのが分かります。この余分な臭みやアクを完全に排除し、カニ本来の澄んだ美味しさだけを届けるために、1段蒸しは譲れないこだわりです。

包丁は不要!繊細な殻を活かした手割り

蒸し上がったワタリガニを捌く際、大将は包丁をほとんど使いません。毛ガニやズワイガニは硬い殻を包丁で叩き割るように捌きますが、ワタリガニのウス(内側の殻)は非常に薄く、まるで薄いプラスチックのように繊細でパリパリとしています。ここに包丁を入れてしまうと、殻が細かく砕けて身に混ざってしまい、口当たりが悪くなってしまいます。そのため、ワタリガニは「手割り」で捌くのが鉄則です。足と足の間を持って力を入れると、パコンと綺麗に手で割ることができます。特に、泳ぐための「水かき」の根元にある筋肉質の身は、鶏肉でいう「手羽先」のような形状をしており、ここがワタリガニの中で最も動かす部分であるため、一番引き締まっていて美味しい部位です。包丁を使わずに手で綺麗に外すことで、この極上の部位を余すことなく丸ごと楽しむことができます。

ミネラル塩でじっくり仕込む極上「内子の塩辛」

今回の仕込みの真骨頂である「内子の塩辛」は、大将が数十年作り続けている秘伝の味です。今回は味噌を混ぜず、内子(卵)のみを贅沢に使って仕上げます。塩辛作りに使用する塩は、絶対に精製塩を使ってはいけません。精製塩を使うと化学反応を起こして味が尖ってしまい、美味しく仕上がらないため、必ずミネラルが豊富な本物の天然塩を使用します。ザルに上げた内子に塩を振り、指先で優しく全体に混ぜ合わせます。一度に塩をドバッと入れるのではなく、塩を振って混ぜて冷蔵庫で寝かせ、水分を出すという工程を4〜5回に分けて丁寧に行います。この脱水作業には丸5時間ほどかかります。じっくりと水分を抜くことで、塩辛さが尖らず、まろやかで濃厚な旨味が凝縮された、塩辛の王様が完成します。無添加ですが冷蔵庫で4〜5日は日持ちし、作った当日よりも翌日の方が味が馴染んでさらに美味しくなります。

大将に聞いてみた!

大将に聞いてみた!

登録者 2.1万人 ・ 日本料理・和食

1958年福島県生まれ。中学卒業後に日本料理の世界へ入り、日本三大料亭の一つ『金田中』や懐石料理の名店『胡蝶』などで修行を積んだ。33歳で新宿歌舞伎町に割烹をオープンし、その後も蕎麦割烹・焼肉店・すっぽん料理屋など多業態の店舗を展開。調理師専門学校の特別講師や独立開業コンサルティングにも携わり、ミシュランの星シェフを含む数百人の弟子を育てた。現在はこの道50年の経験をもとに、日本料理の知識・技術・業界事情を発信するYouTubeチャンネル『大将に聞いてみた!』を運営している。

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