見た目だけのフグ刺しを卒業|身皮は水に落とすな+テンパネ逆引きを映像で確認(後編)

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フグ刺しの調理技術を深掘りした解説動画。身皮の陸上げ処理(湯引き後に水に落とさない)で旨味を逃さず、逆引き繊維を断ち切り、テンパネで薄く長く引くことで、口当たり良く旨味が広がる仕上がりを実現します。見た目の綺麗さよりも、食べたときの美味しさを優先するプロの流儀が学べます。

  • 下準備
    • 湯引きした身皮を水に落とさず、酒煎りしてザルに上げる(陸上げ)ことで旨味成分が逃げず、酒の甘みが加わる
  • 調理技術
    • フグの繊維に逆らう方向で引く(逆引き)ことで繊維を断ち切り、噛み切りやすく旨味が引き立つ
  • 調理技術
    • テンパネで身を薄く長く引き、繊維をしっかり切ることで、口に入れたときの食感と旨味が最高になる
  • 盛付け
    • 皮刺しは縦横の繊維を意識して切ることで、つまみやすく、他の食材と和えたときも食べやすくなる
  • 基本原則
    • 見た目の綺麗さではなく、口に入れて美味しくするための要点を最優先に調理する
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    身皮の湯引き処理

    フグの身皮を湯引きし、加熱して適切な食感を与える。このとき必ず酒煎りをして風味を加える。

    水に落とさない(陸上げ)ことが重要酒煎りで甘みを加える旨味成分の流出を防ぐ
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    テンパネで身を分割

    フグの身をテンパネ(適切なサイズに分割)して、逆引きの準備をする。身を複数に分割することで繊維の本数を減らす設計ができる。

    繊維を最小限にする分割法逆引きの精度を高める
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    逆引きで刺身を引く

    フグの繰維の方向に逆らう方向(逆引き)で、薄く長く引く。約30cm程度の大皿に1枚が途切れずに届くように長く引く。

    繊維を断ち切る角度が重要薄く長く引く(テンパネの手法)噛み切りやすく旨味が広がる
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    皮刺しのカット

    湯引きしたフグの皮を、縦横の繊維方向を意識して切る。ザクザクと無意識に切るのではなく、食べやすさを考慮した切り方をする。

    繊維の方向を意識した切り方箸でつまみやすさを優先他の食材と和えたときの食べやすさ
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    盛付け

    身皮と皮刺しを混ぜて、フグ本来の旨味が最大限に引き出されるよう盛付ける。

    見た目より美味しさを優先食べやすい形状の確認

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※ 動画の内容をトピックごとに整理してまとめています。

身皮の処理は「酒煎り」と「陸上げ」が極意

フグの身皮(みかわ)とは、魚の身を抱いている硬めの身(膜)のことです。大将は50年前から板場で誰もがやってきた処理方法に対して、独自のこだわりを持っています。通常は湯引きした後に水に落とすことが多いですが、大将は身皮を湯した後に必ず酒煎り(さかいり)をして、水にさらさずザルに上げる陸上げ(おかあげ)をします。これにより、フグの身の旨味成分が逃げず、酒の甘みが加わって非常に美味しく仕上がります。この方法で処理した身皮皮刺しと混ぜてお客様に提供すると、フグ本来の旨味が最大限に引き出されます。

湯した身皮を水に落とすのは大間違い

一般的には、湯引きした身皮を氷水などの水に落として「身を締める」と言われますが、大将は「全く意味がない」と一蹴します。なぜなら、せっかくの美味しい旨味や香りが水に逃げてしまうからです。大将は「枝豆を茹でて水に落とす人はいないでしょう」と例えを挙げ、素材の風味を活かすためには水に落とさないことが鉄則であると熱弁します。長年の歴史の中で当たり前のように行われてきた「水に落とす」という工程を見直すだけで、劇的に味が変わることを教えてくれます。

エビや野菜も「陸上げ」で劇的に美味しくなる

水に落とす処理は、見た目重視でエビを氷水に落としたりする料理人が多いですが、本当に美味しく仕上げるなら陸上げが基本です。大将の教え通り、野菜を茹でた後に水に落とさず陸上げするだけで、野菜本来の甘みや旨味が逃げずに劇的に美味しくなります。現代の菜の花ほうれん草は、昔の温室栽培のものと違ってアクがそれほど強くないため、水にさらしてアク抜きをする必要性は低くなっています。家庭でも簡単に実践できる、料理を美味しくするワンポイントアドバイスです。

フグ刺しは絶対に「逆引き」で繊維を断ち切る

フグの身を引く(刺身にする)際、絶対に逆引き(ぎゃくびき)をしなければならないと大将は力説します。フグの繊維は一定の方向に立っており、繊維に沿って引いてしまうと、筋っぽくて噛み切れなくなってしまいます。逆引きによって繊維を断ち切ることで、口に入れたときに初めて心地よい食感と、噛むほどに広がる甘みや旨味が出ます。ヒラメなども同様ですが、刺身の中で唯一、熟成させて締まった繊維を断ち切って食べるのがフグの醍醐味であり、これが大将の確固たる流儀です。

「テンパネ」で薄く長く引く技術の重要性

テンパネとは、フグの身を薄く、かつ長く引く技術のことです。動画では、約30cmの大皿に引く実演が行われますが、お皿の外回りから中心まで、1枚の身が途切れずに届くように長く引かれています。短く切って小羽を立てる見た目重視の菊花造りにするのではなく、薄く長く引くことで繊維がしっかりと切れ、口に入れたときに最高の旨味を感じることができます。片身のまま引いたのでは繊維は切れないため、このテンパネをして逆引きをすることが、フグの引き方の基本となります。

皮刺しの切り方と麹の仕込みエピソード

フグの皮刺し(トゲのある皮)を切る際にも、縦横の繊維を意識して切ることが、お客様の食べやすさや箸でのつまみやすさにつながります。ただザクザクと切るのではなく、繊維の方向を考えて切ることで、他の食材と和えたときにも格段に食べやすくなります。また、動画の最後には大将の日常の仕込み風景として、佐賀県から届く12キロの生の(こうじ)とたまり醤油を合わせて酒の肴を作るため、2リットルの瓶12本を綺麗に洗って乾燥させる準備エピソードが紹介されています。

大将に聞いてみた!

大将に聞いてみた!

登録者 2.1万人 ・ 日本料理・和食

1958年福島県生まれ。中学卒業後に日本料理の世界へ入り、日本三大料亭の一つ『金田中』や懐石料理の名店『胡蝶』などで修行を積んだ。33歳で新宿歌舞伎町に割烹をオープンし、その後も蕎麦割烹・焼肉店・すっぽん料理屋など多業態の店舗を展開。調理師専門学校の特別講師や独立開業コンサルティングにも携わり、ミシュランの星シェフを含む数百人の弟子を育てた。現在はこの道50年の経験をもとに、日本料理の知識・技術・業界事情を発信するYouTubeチャンネル『大将に聞いてみた!』を運営している。

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