出汁寄せ玉子とは|油を使わず出汁の美味しさを味わう和食の玉子料理【第3回】

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Ingredients


出汁寄せ玉子は、油を一切使わず美味しい出汁の中で溶き卵を寄せて固める、和食の伝統的な玉子料理です。油を使わないため出汁本来の繊細な旨味と玉子の甘味をダイレクトに味わえるのが最大の特徴です。仕上がった出汁寄せ玉子はそのまま食べるほか、揚げ出し玉子や天ぷらの素材としても活用できます。和食料理人歴50年の大将が、出汁巻き玉子や玉子焼きとの違い、油が出汁の風味に与える影響なども交えながら実演・解説しています。

  • 下準備

    卵液はさらし(布)に2回ほど絞り通すことで、白身と黄身が完全になじみ、出汁と一体化したなめらかな卵液になる

  • 火加減

    沸騰した出汁にお玉でぐるぐると渦巻く水流を作ってから溶き卵を流し込む。卵を加えると出汁の温度が下がるため、火力を調整しながらふわっと固まるのを待つ

  • 成形

    ボウルに巻き簾を敷き、両サイドに四角くカットした大根を配置し、穴あきスプーンで玉子をすくって大根の間に流し込む。巻き簾でキュッと包んで押さえ、四角く成形する

  • 再利用

    成形時に巻き簾の下に小皿を置くと、絞り出された出汁が溜まり、染めおろしなどに再利用できる

  • 油の扱い

    出汁巻き玉子などで油を使う場合は、生の油をそのまま使わず一度鍋で170〜175度に加熱して5分ほど火を入れ冷ます「熱入れ」をすることで油の角が取れ、出汁の風味を邪魔しなくなる

  • 食品安全

    出汁巻き玉子は出汁(水分)をたっぷり含むため傷みやすく、お弁当には絶対に入れてはいけない。お弁当には水分を使わない玉子焼きを使う

  • 味付け

    出汁巻き玉子は出汁の繊細な旨味を活かすため焼き目をつけず、みりんや砂糖などの甘みも加えない。薄口醤油と塩のみで優しく仕上げる

3点

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  • 適量
  • 出汁たっぷり(鍋に沸かせる量)
  • 大根四角くカットしたもの(成形用・両サイド分)
  1. 01

    卵を軽くかき混ぜて溶き卵を作る(さらしで絞り濾すとよりなめらかになる)

  2. 02

    鍋にたっぷりの出汁を入れて沸騰させる

  3. 03

    お玉で出汁をぐるぐると混ぜて渦巻く水流を作る

  4. 04

    水流の中へ溶き卵を少しずつ流し込む

  5. 05

    卵を加えると温度が下がるため火力を調整しながら、玉子がふわっと固まるのを待つ

  6. 06

    ボウルに巻き簾を敷き、両サイドに四角くカットした大根を配置する(下に小皿を置いておくと出汁が溜まり再利用できる)

  7. 07

    穴あきスプーンで固まった玉子をすくい上げ、大根の間に流し込む

  8. 08

    巻き簾で包み、大根をガイドにしてキュッと押さえ四角く成形して完成

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※ 動画の内容をトピックごとに整理してまとめています。

和食の玉子料理の原点と「さらし」の技法

和食料理人歴50年の大将が、玉子料理の奥深さを語ります。玉子は決まりがない食材だからこそ、職人の技術が光ります。その代表格である「出汁巻き玉子」で最も重要なのは、出汁の美味しさを最大限に引き立てること。大将が修業時代から一貫して行っているこだわりが、卵液を「さらし」で絞って抜く(濾す)工程です。箸で混ぜるだけでは切りきれない白身と黄身を、さらしを使って2回ほどギュッと絞り出すことで、完全に卵液のコシが切れ、出汁と驚くほどなめらかに一体化します。このひと手間が、口に含んだ瞬間にふわっとほどけるような、極上の優しい口当たりを生み出すのです。

油を一切使わない「出汁寄せ玉子」の魅力

今回は、出汁巻き玉子のさらに原点とも言える「出汁寄せ玉子」を紹介します。出汁巻き玉子は焼く際にどうしても油を使用しますが、出汁寄せ玉子は油を一切使いません。美味しく引いた出汁を鍋に沸かし、そこに軽く混ぜた溶き卵を流し込んで、出汁の中でふわっと固まった玉子を寄せて固める和食の伝統的な技法です。油の匂いやギトギト感が全くないため、出汁本来の繊細な旨味と玉子の甘味をダイレクトに味わうことができます。出来上がった出汁寄せ玉子は、そのまま食べるだけでなく、揚げ出し玉子にしたり、天ぷらにしたり、梅肉を添えたりと、様々な料理の「食材」としても幅広く活躍します。

【実演】出汁寄せ玉子の作り方と成形

プロの技が光る出汁寄せ玉子の実演です。まず、鍋にたっぷりと沸騰させた美味しい出汁をお玉でぐるぐると混ぜ、渦巻く水流を作ります。そこへ、軽くかき混ぜた溶き卵を少しずつ流し込んでいきます。出汁の温度が下がるため、火力を調整しながら玉子がふわっと固まるのを待ちます。固まったら、ボウルに巻き簾を敷き、両サイドに四角くカットした大根を配置します。穴あきスプーンで玉子をすくい上げ、大根の間に流し込みます。巻き簾で包み、大根をガイドにして四角い形になるようにキュッと押さえて成形します。このとき、下に小皿を置いておくと、絞り出された出汁が溜まり、染めおろしなどに再利用できます。

出汁の風味を邪魔しない「油の熱入れ」の極意

料理において「油」は非常に便利なものですが、実は食材の味を薄くぼかしてしまうという欠点があります。特に繊細な出汁の風味を味わう出汁巻き玉子では、油の存在がマイナスに働くことがあります。そこで大将が教えてくれたのが、油の「熱入れ(焼き)」というプロの仕込みです。一斗缶やペットボトルから出した生の油をそのまま使うのではなく、一度鍋で170度から175度まで加熱し、5分ほど火を入れてから冷まして使用します。このひと手間で油の角が取れて驚くほど優しくなり、出汁巻きを巻く際に出汁の風味を邪魔しなくなります。もちろん、使用する油の量自体も極力減らすことが大切です。

お弁当に「出汁巻き」はNG!その理由と対策

暖かくなる季節に向けて、大将から重要な注意喚起があります。それは「お弁当に出汁巻き玉子は絶対に入れてはいけない」ということです。出汁巻き玉子は、その名の通り出汁(水分)をたっぷりと含んで焼き上げられています。お弁当箱という密閉された空間では、この水分が原因となって非常に傷みやすく、食中毒のリスクが跳ね上がってしまいます。お弁当に玉子焼きを入れたい場合は、水分を一切使わずに焼き上げる「玉子焼き」を選ぶべきです。プロの現場でも、出汁巻きは足が早い(傷みやすい)ものとして扱われており、持ち歩きには適していません。

水は一切使わない!大将秘伝の「むらぐも玉子焼き」

大将が作る「玉子焼き」には、水道水などの水(H2O)は一滴も使いません。代わりに、煮切ったお酒、みりん、薄口醤油、砂糖を黄金比率で合わせた特製のタレ(割り)を使用します。家庭でよくある、卵液に直接砂糖や塩をスプーンで入れて混ぜる方法は、粒子が溶け残って味にムムラができるため美味しく仕上がらないと大将は指摘します。また、卵液を完全に混ぜ均一にするのではなく、白身と黄身がマーブル状に残る「むらぐも(叢雲)」の状態で焼き上げるのが大将流。これにより、食べたときに白身のプリプリ感と黄身のねっとりとした濃厚なコクを同時に楽しむことができます。

「焼き目」と「焦げ目」は違う!調味料の使い分け

出汁巻き玉子と玉子焼きは、似て非なるものです。玉子焼きには、砂糖や醤油の糖分が加熱されて生まれる「焼き目」の香ばしい風味が絶対に欠かせません。プリンのカラメルのような、焦げた甘みの風味があってこそ玉子焼きは完成します。ただし、中まで焦がすバウムクーヘン状の焼き方はNGで、表面だけに焼き目をつけます。一方、出汁巻き玉子は出汁の繊細な香りを活かすため、焼き目は一切つけず、調味料に甘み(みりんや砂糖)も加えません。お吸い物を飲むときのように、出汁の旨味と塩気、薄口醤油の風味だけで優しく仕上げるのが本物の出汁巻きです。

無限に広がる玉子料理の世界と大将の日常

玉子料理のバリエーションは、閉じる、揚げる、蒸す、焼くなど、まさに無限に存在します。和食には、芝エビや魚のすり身、はんぺんを入れてじっくり焼き上げる「カステラ玉子」や、お正月にぴったりの二層仕立ての「吹き寄せ玉子」など、伝統的な美しい料理がたくさんあります。動画の最後には、大将のプライベートな朝ご飯が紹介されました。4月29日の「肉の日」にちなみ、朝から豪華な黒毛和牛のステーキ、焼きキャベツ、ほうれん草、そしてキャベツの青い部分を刻んでカチリ(ちりめんじゃこ)をたっぷり混ぜた特製納豆ご飯、インゲンやカブ、椎茸の出汁が効いた味噌汁をガッツリ平らげる、大将の元気な日常が垣間見えました。

大将に聞いてみた!

大将に聞いてみた!

登録者 2.1万人 ・ 日本料理・和食

1958年福島県生まれ。中学卒業後に日本料理の世界へ入り、日本三大料亭の一つ『金田中』や懐石料理の名店『胡蝶』などで修行を積んだ。33歳で新宿歌舞伎町に割烹をオープンし、その後も蕎麦割烹・焼肉店・すっぽん料理屋など多業態の店舗を展開。調理師専門学校の特別講師や独立開業コンサルティングにも携わり、ミシュランの星シェフを含む数百人の弟子を育てた。現在はこの道50年の経験をもとに、日本料理の知識・技術・業界事情を発信するYouTubeチャンネル『大将に聞いてみた!』を運営している。

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