フグに葛?|料理人が吉野葛を打つと出汁をまとって食感がまったく別の料理になる

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Ingredients


料理人歴50年の大将が、脱水処理を施したフグに吉野葛を薄く打ち、蒸し器で仕上げる「蒸しフグ」の調理法を紹介します。葛がフグ出汁をまとって吸い込むことで、鍋とはまったく異なるなめらかで極上の食感が生まれます。フグから出た濃厚なスープにポン酢を加えた「飲めるスープ」を熱々で注ぎ、柚子の皮を添えて仕上げます。締めにはそのフグ出汁スープを使い、丸餅・身皮・溶き卵を加えた餅おじやを作ります。脱水による下処理が料理全体の味の深さを左右するという、職人ならではのこだわりが随所に光る内容です。

  • 下準備

    フグはあらかじめ脱水処理(塩などで水分を抜く)して身を締めておく。脱水することで吉野葛が綺麗に密着し、スープが薄まらない

  • 下準備

    脱水の際に下味を入れておくことで、スープ自体を濃くしなくても味がまとまる

  • 葛の打ち方

    吉野葛は刷毛を使ってフグの表面に薄く丁寧に打つ。均一に密着させるのがポイント

  • 蒸し方

    葛を打ったフグを蒸し器に入れ、仕上がりのタイミングから逆算してネギ・白菜などの野菜を途中投入する

  • スープの味付け

    フグ鍋のベーススープを小鍋に取り分け、温めながらポン酢を加えて「飲めるスープ」に仕上げる。フグから出汁が豊富に出ているため薄味でも十分旨味がある

  • 盛り付け

    蒸し上がったフグと野菜を平たい器に盛り、熱々のスープをたっぷり注ぎ入れる。仕上げに柚子の皮を少量添える

  • 食感・味わい

    蒸し上がった葛は表面がトゥルンとした艶やかな質感になり、スープを吸い込んで口の中で旨味が優しく広がる(大将いわく「吸えるポン酢」)

  • 締めのおじや

    フグ出汁スープに丸餅・酒煎りした身皮(コラーゲン豊富な部位)を加え、最後に溶き卵をふんわり回し入れて餅おじやに仕上げる

10点

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  1. 01

    フグはあらかじめ脱水処理を施し、身を締めて下味を入れておく

  2. 02

    脱水したフグの表面に、刷毛を使って吉野葛を薄く丁寧に打つ

  3. 03

    葛を打ったフグを蒸し器に入れて蒸し始める

  4. 04

    フグが蒸し上がるタイミングを逆算し、途中でネギや白菜などの野菜を蒸し器に加える

  5. 05

    フグ鍋のスープを小鍋に取り分け、ポン酢を加えながら温めて「飲めるスープ」に仕上げる

  6. 06

    蒸し上がったフグと野菜を平たい器に美しく盛り付け、熱々のスープをたっぷり注ぐ

  7. 07

    仕上げに柚子の皮を少量添えて蒸しフグの完成

  8. 08

    【締め・餅おじや】残ったフグ出汁スープを温め、丸餅と酒煎り済みの身皮を加える

  9. 09

    スープが温まったら溶き卵をふんわりと回し入れ、ひと煮立ちさせて餅おじやの完成

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※ 動画の内容をトピックごとに整理してまとめています。

脱水フグに吉野葛を打つ「蒸しフグ」の提案

大将は、フグ鍋を大皿でドカンと出すだけでなく、一人前ずつの「お料理」として提供する方法を提案します。使用するのは、あらかじめ脱水(下処理)して身を締めたフグ。これに吉野葛を刷毛を使って薄く丁寧に打っていきます。脱水してあるため、粉が綺麗に密着するのがポイントです。大将は「焼きフグも美味しいけれど、今回はお鍋に似た『蒸しフグ』をやります」と話し、葛を打ったフグを蒸し器へと入れます。フグ鍋や唐揚げ、お刺身といった定番の固定観念にとらわれず、一品料理としてフグの魅力を引き出すためのプロのこだわりが光る工程です。

逆算の美学とスープの味付け

調理はすべて仕上がりのタイミングから逆算して進められます。フグが蒸し上がる時間を見計らい、ネギや白菜などの野菜を蒸し器に投入します。同時に、お鍋のベースとなるスープを小鍋に取り分け、温めながらポン酢を加えて「飲めるスープ」へと味を調えます。大将は「昆布1枚から取る出汁とは違い、フグから出汁がいっぱい出ているから、スープ自体がめちゃくちゃ美味い」と太鼓判を押します。濃いポン酢で食べるのも良いですが、出汁をしっかり効かせた薄味のスープで食べさせるのも、フグの旨味をダイレクトに感じるための素晴らしいアプローチです。

艶やかな盛り付けと熱々スープの仕上げ

蒸し上がった食材を器に盛り付けていきます。吉野葛を打って蒸したフグは、見た目には粉っぽさが消え、表面が「トゥルン」とした艶やかな質感に変化しています。このフグと、程よく蒸し上がった野菜を器に美しく並べ、そこに先ほど温めておいた熱々のお鍋のスープをたっぷりと注ぎ入れます。仕上げに香り高い柚子の皮を少し添えれば、目にも鮮やかな「蒸しフグ」の一品が完成します。お椀に盛り付けても良いですが、このように平たい器にスープを張ることで、ごちそう感のある特別な佇まいになります。

異次元の食感に感動!試食と味の感想

出来上がった蒸しフグを試食します。一口食べたアシスタントの浅見さんは「吉野葛がすごく良い。なんとも言えないフグの食感になる」と大絶賛。大将も「これ、美味いのよ」と笑顔を見せます。吉野葛が出汁をしっかりと吸い込み、フグの身と一体化することで、お鍋で普通に煮たときとは全く異なる、なめらかで極上の口当たりが生まれます。大将は「年配の方や、色々な種類を少しずつ食べたいお客さんのために、コースの中でこういう出し方をするのは非常に有効。フグは料理によってこんなに表情が変わる」と、料理の幅を広げる楽しさを語ります。

葛がスープを吸い込む「吸えるポン酢」の秘密

この料理が薄いスープでも美味しく食べられる秘密は、フグの下処理と吉野葛の相乗効果にあります。フグに脱水処理を施して下味を入れてあるため、スープ自体を濃くする必要がありません。さらに、表面の葛がスープをしっかりと吸い込んで抱え込むため、口に入れた瞬間に旨味が優しく広がります。大将はこれを「吸えるポン酢」と表現し、レンゲでスープごとゴクゴク飲める仕上がりになっていると説明します。下処理を怠って水っぽいフグを使ってしまうと、スープが薄まってしまい、この繊細で奥深い味には絶対にたどり着けないと力説します。

お金を払うお客さんの舌は職人より鋭い

大将は「板前さんたちより、お金を払って食べ歩いているお客さんの方がよっぽど味に鋭い」と語ります。職人は作ることに集中するあまり、実際にお客さんが食べる状況で自分の料理を口にすることが少ないため、独りよがりな味になりがちです。だからこそ、大将は後輩たちに「外へ食べに行け」と口酸っぱく指導しています。見た目だけの華やかさに惑わされず、本当の美味しさを追求することの大切さを、長年の経験から得た教訓として熱く語ります。

フグ出汁の「餅おじや」と赤坂での修行時代

締めには、フグの旨味が凝縮されたスープを使って「餅おじや(お雑炊)」を作ります。温めたスープに柔らかい丸餅を入れ、酒煎りして旨味を閉じ込めた身皮(コラーゲンたっぷりの部位)を加えます。そこに溶き卵を優しく回し入れ、ふんわりと仕上げます。大将はこのお雑炊を作りながら、中学卒業後に初めて上京して修行した赤坂の料亭「きくみ」での思い出を振り返ります。当時は、仲居さんがお部屋で味噌を使ってお雑炊を作っており、お客様の好みの濃さに合わせて仕上げていたそうです。昭和40年代の古き良き料亭の文化に思いを馳せながら、極上の一杯が完成します。

大将に聞いてみた!

大将に聞いてみた!

登録者 2.1万人 ・ 日本料理・和食

1958年福島県生まれ。中学卒業後に日本料理の世界へ入り、日本三大料亭の一つ『金田中』や懐石料理の名店『胡蝶』などで修行を積んだ。33歳で新宿歌舞伎町に割烹をオープンし、その後も蕎麦割烹・焼肉店・すっぽん料理屋など多業態の店舗を展開。調理師専門学校の特別講師や独立開業コンサルティングにも携わり、ミシュランの星シェフを含む数百人の弟子を育てた。現在はこの道50年の経験をもとに、日本料理の知識・技術・業界事情を発信するYouTubeチャンネル『大将に聞いてみた!』を運営している。

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